人間の幸福を決める4つの柱はこれだ!みたいなレビュー論文のお話
「現代人の幸福の4本柱はこれだ!」みたいな内容の論文(R)が出ておりました。
これはウィスコンシン大学マディソン校などの先生方がまとめてくださったレビュー論文で、
- 近年における幸福研究、認知・情動神経科学、臨床心理学の研究から、いい感じのデータを176本ピックアップ
- それぞれのデータを統合して、幸福のコアになる要素を抜き出す
みたいな内容になってます。研究チームいわく、
心理的な幸福は意図的なメンタルトレーニングによって養うことができることが、いままでの研究によって示されている。しかし、心理的な幸福度を向上させるための介入法は増えたが、いったい人間のどの要素を鍛えればいいかを把握するための統一的なフレームワークがない。
ってあたりが問題意識になってます。瞑想とかACTとかCBTとかいろんなテクニックがあるけど、それぞれが「なぜ効果があるの?」を理解するための枠組みがないよねー、 って感じっすね。テクニックが機能してるメカニズムが理解できないと、改良や発展がしづらいですからねぇ。
ってことで、チームはいろんな研究をまとめたうえで、幸福度アップのトレーニングに共通する4つの要素を以下のようにまとめてます。
- 認識:自分の外的な環境や身体感覚、思考、感情などの内的な変化への注意力が高まり、柔軟に切り替えられること。
- 接続:互いにサポートし合える関係や、思いやりのある対人関係を促進してくれるような、誰かとつながっているような感覚
- 洞察:自分の感情、思考、信念、その他の要因が、自分の主観的な経験と自己の感覚をどのように形作っているのかを認識していること
- 目的:意味のある目標持つか、または価値観の明確化ができており、日常の生活に生かすことができる
いずれもやや難しい感じではありますが、もうちょい簡単に言うと、
- 認識:まわりの環境と自分の心と体の変化にちゃんと気づける
- 接続:周囲の人と優しさや思いやりの感情を経験する
- 洞察:自分の考えや感情が何から影響を受けているかに気づける
- 目的:自分のモチベーションと価値観を理解する
ぐらいの意味になります。確かに人間の幸福感をせんじつめると、このあたりに行き着くんだろうなーって気はしますね。
また、このレビューでは、それぞれの要素に対応するトレーニングの内容もまとまってまして、だいたいこんな感じになります。
- 認識に効くトレーニング
- ACT(なかでもマインドフルネスの要素)
- 弁証法的行動療法
- マインドフルベースの注意力トレーニング
- マインドフルネス認知療法
- セルフコンパッション
- 数息観
- ボディスキャン
- 接続に効くトレーニング
- セルフコンパッション
- 慈悲の瞑想
- 執り成しの祈り(キリスト教系のお祈り)
- 洞察に効くトレーニング
- 認知行動療法
- 認知ベースのセルフコンパッション
- マインドフルネス認知療法
- 禅の公案
- 禅の只管打坐
- ヴィパッサナー瞑想
どれもこのブログで何度も取り上げてきたばっかですけど、「それぞれがどのコンポーネントに効いてるのか?」ってのがわかってよろしいのではないでしょうか。
私の場合ですと、いまだに自分の疲労感を無視して夜まで仕事したりして、そのせいで後でストレスでぶっ倒れることがあるので、「認識」の感覚がうまくできてないんだろうなーって気がしております。なんかゆっくりするのが苦手なので、そこらへんは治していきたいもんだなぁ、と。
まーこのエントリでは非常にざっくりまとめちゃいましたけど、めちゃくちゃ重要なことを言ってますんで、時間がある方は、ぜひ元ネタにも当たっていただければと思います。どうぞよしなに。