フルーツの糖質はどこまで体に悪いのか?問題を調べたメタ分析の話
「果糖ってどこまで危険なの?」って問題が昔からあるんですよ。フルーツが体に良いのは間違いないけど、その甘味である果糖は体によろしくないんでは?って議論ですね。
というのも、果糖って普通の砂糖とは違って肝臓でダイレクトに処理をされるんで、たとえば酒を飲まないのに脂肪肝になったり、肥満の原因になったり、心臓や血管の病気につながったりする可能性が指摘されてきたんですよ。
ただし、果糖が本当に危険かどうかについてはまだ結論が出てなくて、一部では「病気の引き金に!」ってデータがあれば、また別のデータでは「特に影響なし!」みたいな報告も出てたりして、よくわからないんですね。
ってことで、新たに「果糖は心臓と血管に良くないのか?」って疑問に取り組んだメタ分析(R)が出てたんで、軽く見ていきましょうー。私のようなフルーツ大好き人間には非常に気になるとこっすね。
この調査では「果糖とまたは果糖ブドウ糖液糖を、ショ糖またはグルコースに置き換えたらどうなるか?」を調べたデータ25件をピックアップしていて、総コレステロールや血圧にどんな違いが出るかをチェックしております。PRISMAガイドラインに従って事前登録もされてて良い感じです。
軽くデータの内容にも触れておくと、
- 1週間以上の実験を行ったものだけに限定(試験期間は1~12週間で中央値は3週間)
- 参加者は13~62歳の男女が計1,744人
- 18件の研究が果糖とグルコースを比較
- 5件が果糖ブドウ糖液糖とグルコースを比較
- 10件が果糖とスクロースを比較
- 5件が果糖ブドウ糖液糖とスクロースを比較
みたいになってます。果糖の量は1回33~250グラムの範囲で、1日の総カロリーの6~48%を占めてたとのこと。全体のうち7件はバイアスのリスクが低いものとして分類されております。にしても、1日の総カロリーの48%が果糖って、ちょっとすごいっすね。
では、果糖がどこまで体に悪かったのか、見てみましょうー。
- ブドウ糖を果糖に置き換えた場合、空腹時の血糖値、体重、最高血圧、中性脂肪、善玉&悪玉コレステロールに目立った違いは見られなかった。唯一、最低血圧のみ2.44mmHg低下する傾向が見られた(ただし、バイアスのリスクが高い試験を除いたら有意差は消えた)
- 果糖ブドウ糖液糖をグルコースに置き換えても、心臓や血管の健康パラメータは特に変化しなかった
- 果糖をスクロースに置き換えても、心臓や血管の健康パラメータは特に変化しなかった
- 果糖ブドウ糖液糖をショ糖に置き換えても、総コレステロール、中性脂肪に変化はなかった。アポBのみ減少する傾向が見られた(WMDは11.29mg/dL)←アポBは動脈疾患の指標
ってことで、どこを取ってもほぼないない尽くしと申しますか、これを見る限りは「果糖が他の糖と比べてとりたてて悪いってことはないのでは?」って印象であります。
まー、こうなると「過去の果糖は良くない系のデータはなんだったのか?」ってのが気になるとこですね。果糖が本当に脂肪肝や心臓病の原因になるなら、LDLコレステロールやアボB、中性脂肪に変化が出てないと納得しづらいですからねぇ。
いま考えられることとしては、
- 過去のデータはバイアスまみれだった?(今回のメタ分析では、バイアスを調べたら統計的に有意な結果が全て消えてるんで)
- 過去のデータはわりと異常なレベルの果糖を使ってるから?(今回のデータのなかには、平均的な果糖摂取量の倍ぐらいを使ってるケースもある)
みたいな感じですかね。とりあえず、いまの時点では、
- 果糖がその他の糖より格別に悪いってことはなさそう
- 果糖が悪いと言われてきたのは、お菓子とかによく使われるのが原因かも
といった理解をしとくのが良いかもですね。どうぞよしなに。