体脂肪率をチェックできる「体組成計」の数字はどこまで信頼していいの?問題
体組成計に関するご質問をいただきました。
体組成計を買おうと思っているのですが、あれってどれぐらい意味があるのでしょうか?体に電気を流して体脂肪と筋肉を計算するのはなんとなくわかるのですが、どれぐらいわかるものなのかが気になります!
ということで、体組成計はどこまで正しく体脂肪や筋肉量を測ることができるのか、と。これは以前も軽く触れたテーマだったんですが、基本的なとこしか説明してなかったんで、もうちょい細かいところを見てみましょう。
1. 生体電気インピーダンス法はどこまで役立つか?
ってことで、まずは多くの体組成計に使われる「生体電気インピーダンス法」(BIA)です。具体的には、↓みたいな商品で採用されてる計測法ですね。
BIAは「電流は抵抗が少ない経路をたどる」って性質を利用したもので、脂肪はほとんど電気を通さないが、筋肉は電気を通しやすいって事実を使って、おおまかな脂肪の量を推定してます。ただし、この方法には難点がいくつかございまして、
- 電流が内部の組織を通過するため、皮膚の下に大量の脂肪があっても検出できないかもしれない
- 機器によっては足や腕の脂肪と筋肉を見逃すこともある
- 最終的な数値は、他の検出法(静水圧計量法など)をベースに推測しているため、誤差が誤差を呼ぶ状態になりやすい
みたいなとこはあります。技術的な限界で、どうしてもそこそこの誤差は出ちゃうんですよね。
では、具体的にどれぐらいの誤差があるかと言いますと、だいたいの傾向から見るとこんな感じになります。
- 個人のエラー率は最大で8〜13%ぐらい
ということで、「まぁ悪くはないかな……」みたいな感じっすね。
2. マルチ周波数BIA方式はどこまで役立つか?
続いて、「マルチ周波数BIA方式」についてです。こちらは異なる周波数の電流を流す手法で、四肢と胴体の個別の身体組成を推定可能になっております。基本的な仕組みはBIAと同じもののより大規模な計測法でして、↓以下のようなマシンで行います。
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個人で買う人はほぼいないでしょうが、ジムなんかに置かれているので、日常的に触れるケースも多いでしょうね。
大がかりなぶんだけいかにも精度が高いような印象が強いわけですが、過去の調査(R)などを見てますと、
- 平均のエラー率はBIAとそんな変わらない(5%ぐらい)
- 個々のエラーレートはもBIAよりもあまり良くない(最大10%)
って傾向も出てまして、「人体各部の違いをチェックできるものの、制度としてはそこまで変わらんなぁ……」ってとこですね。
3. 体脂肪キャリパーはどこまで役立つか?
最後に体脂肪キャリパーも見ておきましょう。これは体の3~7箇所の皮下脂肪の厚さを計測する器具で、その数値から体の組成を推測するやり方です。↓みたいな器具を使う手法で、かなりお安くすむのが魅力ですね。
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当然ながら、「毎回同じ場所を計測しないと誤差が出る」って特徴がありまして、
ってあたりが大まかな誤差になります。最大15%というとかなりのもんですが、アナログな手法にしては「意外と誤差が少ないもんだなー」って印象もありますねぇ。
暫定的なまとめ
ってことで、いろいろ書いてきましたけど、以上の話をざっくりとまとめると。
- グループの体型を評価するには、どの方法でもそこそこの精度が得られる
- ただ、やっぱ個人の誤差はかなりデカくなっちゃう可能性もある
って感じですね。いずれにせよ、「自分の体型がどれぐらい変化したか?」ってのを推測するためには役立つんで、体重計を買うのは良いチョイスではないでしょうか。
その際の注意点としましては、
- いつも同じ時間に計測する(起き抜けの空腹時がベスト)
- 衣服もほぼ同じ状態で計測する
- いつもの食生活に大きな変化がない状態で計測する
- 短期間の比較ではどうしても誤差が出るんで、3~6ヶ月のスパンで評価する
ってあたりを押さえていただくと、体組成軽をうまく使えるんじゃないでしょうか。どうぞよしなにー。