「人気者になりたい!」「いいねが欲しい!」で人生がハードモードになる理由を、ノースカロライナ大学の先生が語っております。
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そういえば、かなり前にミッチ・プリンスタイン博士の「POPULAR 『人気』の法則」を読んで覚え書きをつけてたんですが、ブログにするのを忘れてたので、いまごろざっくりまとめておきます。
本書はノースカロライナ大学チャペルヒル校の先生が、「人気があるってどういう現象なの?」って問題についてまとめたもので、ざっくりと人間社会で取りざたされる「人気」の内実を、
- 「ステータス」と「好感度」
の2つに分けてます。これは過去の心理学や社会科学から得られた考え方で、具体的にはこんな感じ。
- 好感度
周囲の人たちがこちらに好意を持ち、信頼を寄せてくれる上に、「この人と過ごしたい!」と思い、実際に一緒にいる時間を楽しんでくれるタイプの人気。
このタイプの人気は人生の満足度を高めるのにとって重要で、数十年にわたって様々な分野で人生に恩恵を与えてくれる。
- ステータス
周囲からいかに秀でているかを中心としたタイプの人気。長期的にポジティブな結果を予測することはできず、絶望や依存症、人間関係のトラブルなどにつながりやすい。
ということで、長期的に幸福な人生を送りたいなら「好感度」(likability)を追うべきなんだけど、ほとんどの人はこの2種類の人気を混同し、どちらかといえばステータスに走りがちなのが問題なんだ、と。
さらに、本書で気になったポイントを抜き出しておきましょう。
- 好感度が高い子供は、レベルが高い学校に進んだり、成績が良かったり、ストレスに直面したときの回復力が高かったりと、良い結果を出すことが多い。
- 人気のない子供は人生がハードモードになるケースが多く、メンタルの問題、薬物使用、貧困などのトラブルに遭いやすい。
- 青年期にステータスが高かった人も、その後の人生で問題を起こす傾向があり、大人になってから質の低い交友関係や恋愛関係を過ごしがち。薬物乱用や不安・抑うつ状態にも陥りやすい
- ステータスを追う行為が厄介なのは、それが人間関係を構築する方法ではなく、たんに他人を支配して影響力や注目度を高めようとする方法でしかないから。また、ステータスを追う人は他人に対して攻撃的になりやすく、「自分は権力がある」と感じながらも、誰からも好かれなくなってしまう。
- 最近では「デジタル・ステータス・シーキング」と呼ばれる現象もあり、これはできるだけ多くの「いいね」を集めるためにSNSを利用する行為を意味する。これは、オフラインでステータスを求める場合と同じように、人生をすべて悪い結果に導きやすい。
- 思春期の脳はオキシトシンとドーパミンの受容体が成長し、そのせいで、この時期から人間は社会的な報酬を強く求め始める。社会的な報酬とは「私は認められている、注目されている、承認されている」と感じたときに得られる経験のことで、この体験を手っ取り早く得る方法として「ステータス」に意識を向けるようになっていく。
- 「人気」は遺伝による側面も大きく、例えば「他者とのコミュニケーション社会的に交流することへの関心」や「身体的な魅力」などは、人気を高めるのに役立つ要素だと考えられる
- ただし、多くの場合は、親が子供の社会的行動のモデルになれるかどうかが、人気を左右する要素として働きやすい。ある研究では、人気のある母親の子供はやはり人気があり、人気のない母親の子供はやはり人気がない傾向があった。
- とはいえ、私たちの人気は決して固定的なものでもないので、まずは「人間は変われる」と思うのが第一歩となる。その上で、「他の人よりも優れていると思われたい!」ではなく、「他の人と一緒に何かをしたい!」って方向に意識を向けるのが大事。
- というか、現代人はとにかく「ステータスによる人気」にとらわれがちなので、そこを意識して避けるだけでも、「世の中には好感度を高めるチャンスが色々ある」って事実が見えてくる。
ということで、すごく雑にまとめれば、現代はSNSのおかげで誰もが手軽にステータスを追おうとするが、それは地獄への第一歩。自分がステータスの亡者になっていないかを意識するだけでも、本当の人気者への道が開けるよ!みたいな話っすね。まことに正論ではないかと思った次第です。