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今週末の小ネタ:ポリフェノールで睡眠改善?プロバイオティクスでメンタル改善?スマホのナイトモード意味なし?

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

ポリフェノールサプリで睡眠は改善するの?問題

不老長寿メソッド」ではポリフェノールの重要性を強調してますが、新たに「睡眠の改善にも良いのでは?」と思わせるデータ(R)が出ておりました。

 

 

この研究は30日間のRCTで、89名の参加者(平均年齢31.5歳)を集めて、

 

  1. ポリフェノールをブレンドしたサプリを飲む=総重量485mのなかに、ポリフェノール120mg、ロスマリン酸とエピガロカテキンガレートが65mg、カフェイン4.85mg以下をふくむ

  2. プラセボサプリを飲む

 

に分類したんだそうな。参加者は寝る30分前にサプリメントを摂取して、以下のように睡眠の質を判断したらしい。

 

  • 睡眠日誌で眠りにつくまでの時間を判断

  • アクティビティトラッカーでレム睡眠の割合を測定

  • 自己申告による睡眠時間、夜間の覚醒、睡眠効率、睡眠の質

 

それでどんな違いが出たのかと言いますと、こんな感じです。

 

  • ポリフェノールをブレンドしたサプリは、自己申告による睡眠の質を改善し、不眠症の重症度も軽くした。

  • ただし、その他の睡眠指標に変化は認められなかった

  • ちなみに、ポリフェノールをブレンドしたサプリは、ワーキングメモリやリスク評価にも改善が認められたものの、かなり少しの変化なので現実的にはあんま意味がなさそう

 

みたいになってます。全体的に見れば、ポリフェノールで睡眠が改善する可能性はありそうだから試しては?って感じですね。この研究は目立った睡眠障害がない若い人たちを対象にしてるんで、睡眠障害に悩んでいる人をふくめれば、もっと効果が出たかもしれないですし。

 

 

余談ですが、ロスマリン酸はシソ系のハーブに多くふくまれますんで、気になる方はお試しください。

 

 

 

プロバイオティクスは鬱の治療に役立つのかねぇ……という実験

腸内細菌とメンタルがつながっているって話が増えてきたものの、まだ決定的な見解がないのも事実。そこで新しい研究(R)では、鬱病の治療薬を使ったことがない大鬱病性障害(MDD)患者を対象に、こんなテストをしております。

 

  1. プロバイオティクスサプリを1日1回ずつ8週間ほど飲んでもらう(90%の「Lactobacillus helveticus R0052」と10%の「Bifidobacterium longum R0175」をふくみ、CFUは3x109)

  2. 試験の前後で総合的な抑鬱症状をチェックする(MADRSやQIDS-SR16などを使用)

 

ってことで、その結果を見てみると、

 

  •  プロバイオティクスを飲んだら、抑鬱症状や不安が4週目まで減り、その変化は8週目まで続いた
  •  プロバイオティクスを飲んだら睡眠の質も4週目まで改善し、やはり変化は8週目まで続いた

 

だったそうな。まぁ上の研究デザインを見ればお分かりのとおり、

 

  • 対照群がないので因果関係はチェックできない

  • あくまでサンプルが少ない予備的な研究なので精度も高くない

 

って感じなので、くれぐれも「プロバイオティクスでメンタルが改善したらいいなぁ……」ぐらいの気持ちで受け取っていただければ幸いです。個人的には今後も飲み続けようとは思ってますが。

 

 

スマホのナイトモード意味ない説

いまやiPhoneにも標準でナイトモードがついてる時代ですけど、「もしかしたらナイトモードって睡眠の質は上がらないのでは?」って結論のデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはブリガムヤング大学などの研究で、167人の参加者を3つのグループに分けてます。

 

  1. 寝る前にナイトモードを使ってスマホを見る

  2. 寝る前にナイトモードをオフにした状態でスマホを見る

  3. 寝る前にスマホを使わない

 

この時、参加者には睡眠の計測デバイスをつけてもらい、睡眠時間や入眠までの時間をチェックしたんだそうな。すると、結果は興味深いもんでして、

 

  • ナイトモードを使おうが使うまいが睡眠の質は変わらない!

  • というか、寝る前にスマホを使ってなくても睡眠の質は変わらなかった

 

だったそうです。要するにナイトモードのメリットが確認されなかったどころか、「寝る前にスマホを使わない」という定番の手法にも変化が見られなかったんだ、と。うーん、これはびっくり。

 

 

ただし、チームは参加者の睡眠時間によって別の分析もしていて、こちらの結果では、

 

  • 睡眠時間の平均が7時間ぐらいの人であれば、寝る前の1時間にスマホを使わないことで睡眠の質は上がる!

 

って結果も得られてたりします。普段からちゃんと睡眠を確保できている人に限り、「寝る前にスマホを使わない」ってテクニックは有効かもしれないわけですね。不思議なもんですねぇ。

 

 

このような結果が出た理由は不明なんだけど、いまんとこ研究チームとしては、

 

  • スマホのブルーライトよりも、スマホのコンテンツの方が影響度が大きいからじゃないの?

 

と推測しておられます。確かにブルーライトは脳の刺激が大きいものの、それ以上にコンテンツの方が重要だから、結局はナイトモードの意味が薄れちゃうのでは?って考え方ですね。

 

 

確かに、どれだけ夜間の光をカットしようが、寝る前にネットバトルとか見ちゃったら脳が覚醒して眠れなくなりそうですもんね。その点でこの研究は、ナイトモードが無意味というよりは、「寝る前にどんなコンテンツに触れるかが大事!」という結論として受け取ったほうがいいのかもしんないすね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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