今週の小ネタ:ヨガが性機能に効くって本当?『クレアチン』は心臓にも効く?プロバイオティクスでメタボをコントロール!?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
ヨガが性機能に効くって本当?
ヨガが性機能の改善に効く!ってメタ分析(R)が出ておりました。ヨガがメンタルに効くってのは有名な話ですけど、性機能に影響するってのはおもしろいっすねー。
で、このメタ分析の主なテーマは「ヨガが性機能に与える影響」で、女性の性機能指数、更年期尺度、勃起機能指数などをもとに、主に女性の性機能を評価しております。研究に参加したのは合計730人で、年齢層は27〜68歳。93%が女性で、残りの7%が男性だったそうな。10件のトライアルのうち9件が女性を対象としていたため、男性のデータはごく一部ですね。
実験で使われたヨガの頻度や期間はさまざまで、週に90分程度のものから、1日60分のものまであり、期間は6週間から4カ月と幅があったとのこと。ヨガの内容も様々で、一部はアイアンガーヨガ(ポーズの正確さを重視するタイプ)で、他は一般的な呼吸法、ポーズ(アーサナ)、リラクゼーションや瞑想を組み合わせたセッションが採用されております。
でもって、分析の結果がどうだったかと言いますと、
- ヨガには性機能に対してわずかながらプラスの影響がある!
- とくに効果が強く現れたのは以下のグループだった。
- 女性
- 健康問題のない人
- 中年層(40代〜50代)
って感じだったそうな。どうやら、ヨガは性機能に多少のプラス効果があるかもしれず、特に閉経後や中年期の女性には、リラクゼーションや身体の動きが性機能にポジティブな影響を与える可能性があるみたいですな。
とはいえ、全体的な効果は「小さい」レベルにとどまっているし、「劇的な変化」というほどではないのでご注意ください。また、この分析では男性のデータがほとんどないので、「ヨガが性機能に与える効果は男性にも同様か?」については、ほとんど情報がないのが現状であります。
なので、現時点でヨガが性機能の改善法として「確実におすすめできる!」とは言い切れないんだけど、試してみたい場合は、週1回以上のペースで、リラクゼーションや呼吸法を取り入れたヨガを続けてみるのが良いかもしれませんねー。
『クレアチン』は心臓にも効く?
クレアチンといえば筋トレサプリとして当サイトでも定番のサプリですが、実は「心臓や血管にも効くかも?」なんて話が昔からあったりします。クレアチンは体内でいろんな働きをしてるんで、脳だけでなく心臓にも影響する可能性があるんですよ。
で、新しい研究(R)は、クレアチンが本当に心血管系に効果があるのかどうかを調べてまして、55〜80歳のシニアを対象としたランダム化比較試験を行ってます。研究の対象になったのは、健康上の問題が特にない55〜80歳の男性が25名。彼らを以下の3つのグループに分けて、それぞれ異なる方法で7日間を過ごしてもらったそうな。
- クレアチングループ : 1日20gのクレアチンを摂取
- プラセボグループ : マルトデキストリン(偽薬)を摂取
- コントロールグループ : 何も摂取しない
でもって、サプリメントを飲む前後に、参加者の心血管機能や血管の硬さを測定したところ、以下のような結果が出ております。
- 残念ながら、クレアチンは主要な心血管系の指標に対して有意な改善をもたらさなかった。クレアチンを摂取したグループでも、血圧、心拍数、血管の硬さに関してはほとんど変化が見られず、他の2グループとの差も明確には出ていない。
- ただし、クレアチンを摂取したグループでは、ベースラインと比べてCAVI(心臓-足首血管指数)が改善を見せ、最高血圧が5〜8mmHg低下するなどの変化が見られた。
ということで、一応の改善傾向は見えるものの、「偶然の範囲を超えていないかなー」って印象ですね。いちおう収縮期血圧が5mmHg低下しているので、心血管イベント(心筋梗塞など)のリスクを10%低下させる可能性はあるんだけど、こちらも統計的には有意じゃないので、まだなんとも言えんですな。
というわけで、今回の結果だけを見ると、現時点ではクレアチンは「筋肉増強のためのサプリ」として使うのがメインで、心血管系への効果についてはおまけ程度に考えておくのがよさげ。クレアチンについては、「筋力を保ちながら加齢に抗う」といったメリットがあるので、引き続き使ってみる価値は十分にあるでしょう。
プロバイオティクスでメタボをコントロール!?
「プロバイオティクスで、血糖値や血中脂質、さらには炎症や酸化ストレスまで改善するのでは?」って報告(R)が出ておりました。乳酸菌みたいな腸内細菌のサプリは、単にお腹に良いだけではないって話ですな。
この研究は、プロバイオティクスがメタボに効くのかを調べたもので、「ラクトバチルスカゼイ」というプ菌が、血糖値やコレステロール、体重、炎症マーカーなどに影響するのかどうかをチェックしております。具体的には、糖尿病予備軍と診断された45〜65歳の男女60人を集め、1日1000億CFU(コロニー形成単位)のラクトバチルスカゼイを飲むように指示したんだそうな。
それでは、気になる結果を見ていきましょうー。
- 血糖値の変化:6か月後、プロバイオティクスを摂取したグループは空腹時血糖が0.7 mmol/L改善。一方、プラセボグループは0.01 mmol/Lと変化なし。つまり、プロバイオティクスが血糖値に一定の効果をもたらしていると考えられる。
- 脂質代謝への効果:全体の血中脂質も良い方向に改善。LDLやトリグリセリドが平均して0.5 mmol/Lほど下がり、HDLは0.25 mmol/L上昇と、良い変化が確認された。
- 体重・BMIの変化:プロバイオティクス摂取者は体重が平均1.4 kg、BMIは0.5ポイント減少していた。体重減少はささやかに思えるかもしれないけど、腸内フローラの改善が代謝にもプラスに働くことがわかる。
- 炎症と酸化ストレス:健康リスクを高める炎症や酸化ストレスも改善され、特にCRPやインターロイキン6などの炎症マーカーが低下。酸化ストレスの指標であるマロンジアルデヒドも減少していたため、全身の負担軽減も期待できそう。
- 腸内環境の改善:短鎖脂肪酸(SCFA)レベルも改善し、腸内フローラの多様性が向上していた。腸内環境が整えば、それがさらに体の健康に波及する可能性もある。
ってことで、個人的には「プロバイオティクスが代謝に与える影響は意外と大きいんだなー」って印象ですね。もちろん、プロバイオティクスだけでメタボが治るわけじゃないものの、なかなかよさげですな。
では、どうすれば今回のような結果が得られるのかってことで、以下のポイントに注意しつつ日常にプロバイオティクスを取り入れてみると良いかもしれません。ラクトバチルスカゼイはやっぱ優秀っぽいですなぁ。