水を飲み過ぎると体を壊す?東洋医学の「水毒」はどこまで正しいのか?
健康本を読んでるとよく出てくるのが「水毒」の話。水を飲み過ぎると体に悪いって話で、ネットでもちょくちょく見かけますね。
水1日2リットルは間違った健康法! 正しい水との付き合い方とは?
なんでも、水を飲み過ぎると、
「ひどい頭痛」「肌トラブル」「手足が夕方になるとむくむ」「長年、便秘に悩まされている」「肩こり・腰痛」「睡眠障害」などに心当たりのある人は、その原因はすべてこの水毒の可能性がある。
とのことで、本当なら大変な話ですが、この水毒の話って東洋医学の世界だけでしか主張されてないし、まともな証拠もないんですよね。
で、ちゃんとした水の害として有名なのは「水中毒」。水を飲みすぎることで体内のナトリウム濃度が下がって低ナトリウム血症が起きちゃって、最悪の場合は死に至るという恐ろしい症例であります。マラソンで水を飲み過ぎたランナーが死亡した例などは、よく聞く話です。
ただ、これは激しい運動でよほどの脱水状態にならないと起きにくい症状。 健康な人の腎臓は1日に15リットルの水分を代謝する能力を持ってまして、日常生活でそれだけ飲む人はいないでしょう。(1) もっとも、小腸が水分を吸収する能力には限界があって、短時間に1〜2リットルの水を飲むと下痢になる可能性はあるかも。そこだけはご注意ください。
同じように、水毒説が主張する「水は体を冷やすからダメ!」って話も根拠が薄い感じ。冷たい水のほうが胃の働きを活発にして、効率よく脱水をふせいでくれるって論文もありますし(2)、冷たい水が内臓に悪影響をおよぼすって証拠はないんですよねぇ。
そんなわけで、いまだに水毒の害を訴える本も多いんですけども、どうにもわたしには根拠レスに思えてしかたありません。実際は脱水のほうが怖いので、「1日2リットルを目安にノドが乾いたときに飲む」ぐらいの認識で問題ないかと思います。