定番の筋トレサプリ「BCAA」は本当に買うべきか?
https://yuchrszk.blogspot.com/2014/09/bcaa_17.html
こないだ「筋トレに役立つサプリ」を5つ選んでみたところ、こんなご質問メールをいただきました。
BCAAについて記事がございませんが、どのようなご見解でしょうか? suzuki様のご意見に、非常に興味があります!
言われてみれば、これだけ筋トレサプリの話をしてるのに、すっかりBCAAのことを忘れておりました。
そもそもBCAAってなに?
BCAAは分岐鎖アミノ酸の略でして、筋トレ界では「定番」と呼ばれるサプリの1つ。トレーニングの前後に飲むことで、筋肉がより速く成長すると言われている商品であります。で、いくつかの研究を見ると、確かにBCAAの効果ってすごそうに見えるんですよね。具体的には、
- BCAAの1つであるロイシンが筋組織内のタンパク質合成をアップする(=筋肉の強化)ってデータがある(1,2)
- 10グラムのBCAAで筋肉痛が大幅に減ったという実験結果がある(3)
- 同化ホルモンのレベルが上がった(=筋肉が減りにくくなる)ってデータもある(4)
などなど、これだけ見ると、確かに「筋トレにBCAAは必須!」と言いたくなる感じ。
BCAAは食事から摂れば十分
ところが、BCAAにはいくつかの難点がありまして、わたしはサプリでBCAAを補給する必要はないと思っております。理由の第一は、BCAAは普段の食事で十分に足りちゃうところ。たとえば、鶏肉や牛肉からとれるタンパク質には、約15%のBCAAが入っているので、例えばセブンイレブンのサラダチキン(タンパク質23.8g)を食べた場合、1つで約3.5グラムのBCAAが取れる計算。これが、ホエイプロテインだと、その割合はさらにアップしまして、大体25%がBCAAになっちゃう。
つまり、よほど肉や乳製品をひかえた食生活でも送ってない限りは、普段の食事で必要なだけのBCAAがとれている可能性が大。日常的にプロテインを飲んでいるであろう筋トレユーザーにいたっては、まったくもって不要かと思います。
実際、上でご紹介した研究例の数々は、実験のためにタンパク質の摂取量をかなり減らしたうえで、BCAAの効果を測定したケースがほとんどでして、普段から十分なタンパク質を摂っている人にも同じ効果が出るって保証はどこにもないんですよね。
BCAAの効果は長く続かないかも
BCAAのもう1つの難点は、その効果が長く続かない可能性が高いところ。数々の研究を見ると、ロイシン(BCAAの司令塔)には、筋肉のタンパク質バランスを変える作用があるのは間違いないんですけども、長期的に見ると筋肉を増やす効果は出てないっぽいんですよね。代表的な例は2012年に出た論文(5)でして、ロイシンが筋肉におよぼす影響を調べたうえで、研究者は以下のように結論しております。
高齢者のヒトとげっ歯類を対象に行った実験では、ロイシンの服用には、あきらかに筋肉のタンパク質バランスを改善し、筋肉の分解作用を抑制する効果がみられた。しかし、長期的な実験では、ロイシンの服用が筋肉量を増すことはできなかった。
また、一部では筋トレの前後じゃなくて、食事の合間にBCAAを飲むことで筋肉が減らなくなるって話もあるみたいですが、そのへんについてはちゃんと調べたデータがないので断言はできず。効果があったとしても、これまでの実験を見ると、どうにも積極的にはなれないわけですが。
まとめ
そんなわけで、いろいろ書いてきましたが、長期的に見たら筋肉量アップの効果は薄そうですし、プロテインを飲んでいればBCAAを使う必要がないのは間違いないので、わざわざBCAAサプリを買うことは考えておりません。というか、本当は牧草牛や平飼いの鶏肉からタンパク質をとれればベストなんですが、なかなか実践は難しいですねぇ…。credit: baynado1978 via FindCC