「炭水化物 VS. 脂肪」同じカロリー量で太りやすいのはどっち?
「肥満や体調不良の原因は炭水化物!」ってのが糖質制限の大前提なわけですが、近ごろ「インスリンは肥満ホルモンではない(1)(2)」や「糖質は必要な栄養素なのか、それともただの毒なのか? (1)(2)」に書いたとおり、どうもその説は怪しいと思っております(糖質制限ダイエットの効果は否定しないですが)。
というわけで、ここではシンプルに「炭水化物と脂肪はどっちが太りやすいの?」って疑問について調べた研究を見て行きましょう。
炭水化物も脂肪も食べ過ぎれば同じように太る
まず有名なのが、「脂肪と炭水化物の食べ過ぎ実験」なる1995年の論文(1)。16人の男性を対象に、1日に必要なカロリーの50%を上乗せした食事を14日間ほど続けてもらった実験で、半分には炭水化物を、残りの半分には脂肪をメインに食べてもらったんですな。
すると、14日後のデータは、こんな感じになりました。被験者の体脂肪の増え方を表したグラフで、「◯」が炭水化物、「●」が脂肪を食べた結果です。
ご覧のように、全体的にみたらほぼ差がありません。研究者いわく、
被験者たちの体重や体組成(脂肪のつきかた)の変化には、明確な差はなかった。
とのこと。炭水化物だろうが脂肪だろうが、食べ過ぎれば同じように太っちゃうんだ、と。
続いて参考になるのが、「若者に炭水化物と脂肪をたくさん食べさせてみた」という2000年の論文(2)。20人の男性を半分にわけまして、1日の必要なカロリーにくわえて約1200Kcalの炭水化物か脂肪を食べてもらった実験であります。この際、日常の活動量などもコントロールして、総摂取カロリーに差が出ないようにしたらしい。
実験は21日にわたって続きまして、その結果は、
- 体重はどちらのグループも約1.5kg増加
- 体脂肪はどちらのグループも900g増加
というわけで、やはり炭水化物と脂肪では差が出なかったんですね。
まとめ
そんなわけで、炭水化物と脂肪の太りやすさを調べた研究を見てみました。もちろん、いずれの論文も「女性の被験者がいない」とか「サンプル数が少ない」って欠点はあるものの、ここまで差が出ないと、やはり「肥満や体調不良の原因は炭水化物!」って主張にはムリがありそうに思います。肥満の原因は炭水化物ではないのに、炭水化物を減らすと体重が減りやすくなるってのも面白い話ですねぇ。