細胞を癒して痩せよう!「初めてのセットポイント理論 その5」
思いつきでスタートした「初めてのセットポイント理論」シリーズ。本来、人間は自動でスリムな体型を保てるはずなのに、脳が不調を起こしたり、細胞がダメージを受けるせいで太っちゃうんだよーって話をしてきまして、さらに前回は「太る原因」をチャートにしてみました。そこで今回は、細胞のダメージを防いで簡単に痩せるためのコツを考えてみましょう。
1・慢性的な食べ過ぎを止めて痩せる!
言わずもがな、慢性的な食べ過ぎはカロリーオーバーの原因ですが、それ以上にホルモンのバランスに異常を起こす作用のほうが問題。ホルモンバランスが崩れると、どんどんセットポイントが上がっていきまして、どんなにダイエットをしても痩せない体になっちゃう。
そのための方法はいろいろありますが、もっとも手っ取り早く効果が出るのが、タンパク質の摂取量を増やすことかと思います。「朝にプロテインをとれば食欲はコントロールできる!」や「痩せたいだけなら「タンパク質カウントダイエット」が一番ラクなのでは?」などでもご紹介したとおり、タンパク質には食欲を抑制する作用がありまして、意識して摂取量を増やすだけで自然と食事量を減らすことができるんですな。
1日のタンパク質の摂取量としては、
ダイエッターの推奨量(g/日) = 体重 × 1.6
がオススメ。2005年の研究により、これだけのタンパク質を摂っていれば、効率よく体脂肪を減らせるとのデータが出ております。タンパク質の供給源としては肉を食うのが基本ですが、上の推奨量を肉だけで達成するのは大変なので、プロテインパウダーを使ってもOK。プロテインパウダーだけでも、十分に体重を減らす効果は得ることが可能です。
ちなみに、このときに加工食品を食べてしまうと再び食欲がアップしちゃうので、タンパク質を増やしつつ加工食品は完全にカットする方向でお願いします。
2・ダメージ食品を止めて痩せる!
ダメージ食品とは、「初めてのセットポイント理論 その3」で紹介した、
- ベジタブルオイル
- グルテン(パン、パスタ、ピザなど)
- 小麦系の食品、豆類、玄米
- 市販のドレッシングやマーガリン
- アレルゲン(食品アレルギー)
といった食べ物のこと。これがないと生きていけない!という物以外は、完全に食卓からはぶくことをオススメします。
もちろん、これらの食品は毒ってわけじゃないんですが、他にもっと良い栄養源がある場合は、そちらを食べたほうがセットポイントは確実に下がります。例えば、
など、これだけで細胞のダメージが癒やされて、痩せやすい体になっていくはず。
3・ムリなカロリー制限を止めて痩せる!
「なぜカロリー制限ダイエットの95%は失敗に終わるのか?」でも書いたとおり、カロリー制限は代謝に大ダメージを与えて、ダイエットを失敗に追い込む最大の元凶。たんに痩せにくい体になるだけじゃなく、逆に太ってしまうのが困りものであります。
この現象を防ぐには、とにかく体が要求するぶんだけはちゃんと食べること。上で挙げたダメージ食品や加工食品を止めて、しっかりタンパク質をとっていれば、自然なところで満腹になるように食欲が調整されるはずなんで、あとは食欲に従って食べるのが吉。ポイントにまとめると、
- ムリに空腹をガマンせず、腹が減ったら食べる
- あくまでも腹が空いたときだけ食べて、ヒマつぶしや快楽のために食べたない
- お腹がいっぱいになったら止める
4・栄養不足を止めて痩せる!
極端な糖質制限ダイエットやベジタリアンは、栄養がかたよりがちになってホルモンバランスが崩れがち。そうなった場合は、取り急ぎパレオダイエットのガイドラインにしたがって、栄養価の高い食べ物を取り入れることをオススメいたします。
また、ビタミンやミネラルの不足で肥満が起きるケースもあるので、心当たりがある方はマルチビタミンの補給を推奨。実際、肥満の患者さんにマルチビタミンを投与したところ、6カ月で平均3キロの脂肪が減り、LDL(悪玉)コレステロールも27%減少、HDL(善玉)コレステロールが40%も上昇したとのデータもございます(1)。
5・運動不足を止めて痩せる!
言わずもがな、運動不足はホルモンバランスを崩す大敵。といっても、P90Xやインサニティのようなハードなエクササイズは不要で、タバタ式トレーニングやHIITのような短時間の運動でOKであります。
また、このときに参考になるのが狩猟採集民の暮らし。ほとんどの狩猟採集民には肥満がいないことは以前にも書きましたが、彼らの活動には以下のパターンが見られます。
- 狩猟採集民は1日に平均で6〜11キロも歩く
- ハードな運動をした翌日は徹底的に休む。肉体労働のあともちゃんと休む
- 運動はできるだけ陽の光の下で、土や草の上で行う
- 週に2〜3回ほど、ダッシュやスプリントのような強度の高い運動を行う
- 定期的に石や木材のような重いものを持ち運ぶ
- 基本的には、軽いウォーキングのように毎日なにかしら体を動かす
といった感じ。このガイドラインを参考に運動すると、適度なレベルを保てるかと思います。このなかでは、特に「しっかり休む」ってとこが超大事。
といっても、エクササイズに慣れていない人が、いきなりタバタ式トレーニングやHIITを続けるのもツラいので、まずは座る時間を減らすことを第一に考えたいところ。本当はトレッドミル付きのスタンディングデスクかスタンディングデスク使うのが理想ですが、それがムリなら、せめて30分おきには立ち上がって軽く運動をするのがよいかと思います。
まとめ
そんなわけで、細胞のダメージを癒してセットポイントを正常に戻し、ムリなく痩せるためのポイントを見てきました。実践の際の順番としては、
- 加工食品を止める
- ダメージ食品を止める
- タンパク質の摂取を増やす
【初めてのセットポイント理論シリーズ】
- 本来、人間は太らないようにできている「初めてのセットポイント理論 その1」
- 人間は脳から太っていく「初めてのセットポイント理論 その2」
- いくら食べても食欲がおさまらないのはなぜ?「初めてのセットポイント理論 その3」
- 脳の不調から来る肥満を防ごう!「初めてのセットポイント理論 その4」
- 細胞を癒して痩せよう!「初めてのセットポイント理論 その5」
credit: petit zozio via FindCC