「年を取ると太りやすくなる」はどこまで本当か?
「年を取ると太りやすくなるのはなぜですか?」とのご質問をいただきましたので、ちょっと考えてみたいと思います。
本来、人間の体は年齢とともに痩せやすくなる
まず、よく聞くのが「年を取るとホルモンバランスが崩れるから太る」といった話であります。ところが、例えば1997年の論文(1)などでは、年長者のほうがお腹が空きにくいことがわかってまして、実は若者よりも食欲を促進するホルモンは出てないっぽいんですな。
実際、2010年の研究(2)では、レプチンやCCKといった食欲に関するホルモンの量を調べたんですが、
- 高齢者になるほど少しの食事で満足しやすくなる
- 年をとると自然にカロリーの摂取量は減る
- 40才になった時点で痩せていれば、その後も太らない確率が高い
といった傾向が見られたとか。確かに、年を取るとホルモンバランスは変わるんですが、そのおかげで逆に太りにくい体になるみたい。
じゃあ、なんで年を取って太る人が多いの?
では、なぜ「中年太り」なんて言葉があるかというと、
- 年をとって動かなくなった
- セットポイントが上がった
- 心理的な問題
などの要素が大きいと言われております(3)。
まず1つ目は、たんに運動不足で筋肉が落ちて太るって話であります。これに関しては、40代を過ぎてもトレーニングさえすれば筋肉量は保てるって研究がありますんで、普通に筋トレを続けていけばOK。
2つ目は、長年の暴飲暴食が積み重なった結果、細胞レベルで太りやすい体になっちゃうって説。こちらは不摂生のせいでホルモンバランスが崩れている可能性が大なんで、「ホルモンバランスを調整して自然に痩せるための7つのポイント」あたりが参考になるかと思います。
で、3つ目ですが、どうも年をとった人は自分が太ったことに気づきにくい傾向があるみたいなんですね。ある調査(4)によれば、肥満の人の3割が「自分はデブじゃない!」と思っていたとか。一般的に、肥満はジリジリと進んでいくもんなんで、よほど体重に意識的でないと、いつの間にか太った自分の姿に慣れていくみたい。恐ろしいですなぁ。
まとめ
そんなわけで、以上の話をまとめますと、
- 本来、人間は年をとるほど痩せやすくなるはず
- でも、不摂生と運動不足が重なって太っちゃう