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トリックアートを見るだけで人間は寛容な気持ちになれる

Visual illusions

  

トリックアートを見ると寛容な気持ちになれるよ!」と主張する論文(1)がおもしろいのでメモ。

  



 

これはアラバマ大学の実験で、200人の学生を対象に行われたもの。全員をいくつかのグループにわけて、以下の条件を設定したんですね。

 

  1. 「ヒトの視覚がいかにダマされやすいか」を説明したうえで、定番のトリックアートを見てもらう(シルエット錯視とかチェッカーシャドー錯視とか)
  2. 「ヒトの視覚がいかにダマされやすいか」を説明するだけ

 

その後、学生たちに「輪郭のボケた人物写真」を見せたところ、

 

  • トリックアートを見なかったグループは、写真の人物を「嫌な性格っぽい」などと即断しがちだった
  • トリックアートを見たグループは、写真の人物を「いろんな性格に見える」と幅広い態度をとった

 

 との傾向が出たそうな。研究者いわく、

 

総合的にみて、素朴実在論(「世界は見えたままに存在している」という考え方)の間違いを体験させると、より物事にたいして寛容で客観的な態度が生まれるようだ。(中略)この効果は、より寛容で心の広い社会を作るために役立つかもしれない。

 

とのこと。視覚のあいまいさを実感することで、自分の判断に距離を置くようになるわけですね。近ごろはヒトの認知のゆがみに関する本が多いですが、知識だけではなくて、とにかく体験してみることが大事だと。

 

 

そんなわけで、定期的にトリックアートに触れてみるのはメンタルヘルスにもよさげ。個人的には、「見えないゴリラ」や「OK GOのミュージックビデオ」がオススメです。

 

 

credit: PowerPatrick via FindCC


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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