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コーラやソースの発がん性にはどこまでビビればいいのか?

Caramel

 

カラメルの発がん性に関するご質問をいただきました。

 

昨日ぐらいに、コーラに使われているカラメル色素が、がんの原因になるというニュースが流れていました。コーラなどは飲まないのでいいのですが、カラメルは醤油にも入っているので心配になります。どう思われますでしょうか?

 

とのこと。カラメル色素は着色料の1つでして、コーラのほかにも、

 

  • ソース
  • 醤油
  • 黒ビール
  • コーヒー
  • プリン
  • サプリメント
  • スナック菓子

 

などに使われております。おもに加工食品の色づけ用っすね。

 

 

砂糖を焼いて作る昔ながらのカラメルなら問題はないんですが、近ごろは糖類にアンモニウム化合物をくわえて作ったバージョンがほとんど。このタイプのカラメルには4メチルイミダゾール(4-MEI)って成分が入ってまして、「がんの原因になんじゃない?」って指摘が出てるんですね。

  

 

ソフトドリンクの消費者にはがんの危険?

で、近ごろあらためて話題になったのは、ジョンズ・ホプキンス大学のレポート(1)。アメリカで買える缶ジュースの危険度を調べたところ、

 

  1. マルタゴーヤ(ビール風味の清涼飲料水)の4-MEI含有量がもっとも多かった
  2. コカ・コーラの4-MEI含有量がもっとも少なかった
  3. ペプシの4-MEI含有量はコカ・コーラの数倍だった

 

 といった結果が出たそうな。これを今後のがん発症率に換算すると、

 

  • マルタゴーヤ:今後70年で5,011人のがん患者を出す可能性
  • コカ・コーラ:今後70年で76人のがん患者を出す可能性

 

って感じ。研究者いわく、

 

カラメル色素は、たんに見た目を良くするだけに使われる添加物だ。それなのに、ソフトドリンクの消費者は、がんの危険にさらされている。これは、本来なら避けられるはずの不要なリスクだ。

 

とのこと。なんとも恐ろしい話ですが、実際のところ、4-MEIの発がん性については賛否両論だったりしております。

 

 

 

ただし、世界的には4-MEIは安全との声が多い

というのも、4-MEIとがんの関係については、まだヒトを対象にした研究がなくて、いまのところマウス実験のみなんですよね(2)。

 

 

しかも、アメリカ食品医薬品局によれば、いずれの実験も超大量の4-MEIを使ってまして、これを人間に換算すると、およそ1日に30本のコーラを飲むのと同じになっちゃうとか。そのうえで「4-MEIのせいですぐに危険が生じるとは考えられない」との結論を出しております(3)。

 

 

欧州食品安全機関のレビュー(4)も似ていて、やはり「カラメル色素が人体に悪影響をおよぼす証拠はない」との結論。カラメル色素を大量にふくんだ食品を摂取しても、心配にはおよばないと言い切っております。

 

 

さらには、カナダ保健省も「食品の4-MEIはリスクではない」との結論(5)。香港食品安全センターも「がんが起きるには1日に300缶の清涼飲料水を飲まねばならない」(6)との見解。

 

 

まとめ

そんなわけで、いろいろと見てみますと、べつにそこまで心配しなくてもいい感じ。日常的に醤油やソースを使うぶんには、問題はないんじゃないでしょうか。

 

 

とはいえ、アメリカだと消費者からのクレームが盛り上がってるんで、今後は日本にも規制が入ってきそうではあります。個人的には、サプリと醤油ぐらいしかカラメル色素をとらないので、特に気にしておりませんが。

 

 

 credit: Pinot & Dita via FindCC


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。