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結局、夜ふけの食事は体にいいのか悪いのか問題

Midnightsnack

食事のタイミングに関するご質問をいただきました。

いつも楽しく拝読しています。通常、朝と昼を食べず、夜だけ食べています。

ただ、夜ご飯の時間が22時過ぎで、毎回罪悪感があります。ブログでもリラックスできる時間帯に食べるのがよい場合もあるといった記事があったかと思うのですが、その他、何か自分を納得させられる理由はないでしょうか?

朝昼は仕事の頭で、確かに夜が一番リラックスして食べられるのですが、あまり食べると寝起きが悪いような…とはいえ夜食べなくていつ食べる、という気持ちもあり…毎日葛藤です。

とのこと。確かに、夜ふけの食事に罪悪感があるというのは、感覚的にはよくわかる話です。どうしても「朝ごはんは体にいい!」ってイメージもありますし。




朝食がっつりタイプのダイエットは筋肉の減り方が激しい
この問題に関しては、過去に「『夜に食べると太る!』はどこまで本当か?」のなかでざっくりと書いてまして、実際のところ「夜食は肥満を引き起こす原因にはならない」との結論になっております。


また、さらにご紹介したいのが1997年の有名な研究(1)です。これは米国農務省が行った実験で、女性たちを対象に朝食と夜食が体にあたえる影響を調べたもの。具体的には、参加者を2つのグループにわけまして、

  1. 8〜12時までに総摂取カロリーの70%をとる
  2. 4時半〜8時半までに総摂取カロリーの70%をとる

 といった食事パターンを実践してもらったんですね。期間は6週間で、両グループとも総摂取カロリーは平均で1,911kcalに調整されております。


その結果は、やっぱり朝食をがっつり食べたグループのほうが体重が減ってまして、思わず「結局はちゃんと朝に食べたほうが痩せるんじゃないか!」とか思っちゃうわけですが、実は朝食グループの体重が減ったのは筋肉の減少度が大きかったからなんですね。


夜食がっつりは成長ホルモンの働きを助ける
その証拠に、体脂肪の量だけをくらべてみますと、

  • 朝食がっつりグループ:2.9kg減少
  • 夜食がっつりグループ:3.7kg減少

となってまして、逆に夜食グループのほうが脂肪が減ってるぐらい。まぁ統計的にはほぼ差がないレベルであります。


このような現象が起きる理由は、まだ正確にはわかっていないものの、研究者たちは「成長ホルモンの影響」を有力視しております。


通常、成長ホルモンが分泌されるのは、眠りに入ってから1〜2時間後ぐらい。その際に体内のタンパク質量が多いほど、筋肉の減少がふせげるのではないか?という説です。このあたりは、以前に「寝る前のプロテインが筋肉量アップに効く!」で取り上げたアメリカスポーツ医学会の実験とも呼応するところ。


まとめ
そんなわけで、あくまでもタンパク質をちゃんと摂り、食べ過ぎにさえ注意すれば、夜食は太らないどころか逆に筋肉の減少を食い止める可能性もありそうです。


とくにご質問者さんは、1日に夜の時間帯しか食べていないとのことですんで、自然とリーンゲインズダイエットのサイクルを実践しているものと思われます。このプチ断食法には、一定の時間だけタンパク質を制限することで細胞内の大掃除を行い、アンチエイジングや寿命を伸ばす効果もありまし、夜ふけの食事だからといって罪悪感を持つ必要はないかと思いますよー。


 credit: rishibando via FindCC
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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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