酒を飲むと腸内環境がガッツリと悪化してしまう理由
以前に「酒を止めたらアレルギーが劇的に改善した」ってレポートを書きまして、そのときはリーキーガットを中心にした話だったんですが、どうもアルコールは腸内細菌たちにもダメージをあたえてしまうらしい。
アルコールが毒性の強い細菌を増やす
有名なところでは、ズバリ腸内細菌とアルコールの関係について調べた研究(2008年,1) がありまして、重要なところを抜粋しますと、
アルコールには、毒性の強いバクテリアを腸内で増やす働きがあり、その結果、毒素が体内にたまっていく。さらに、バクテリアと腸内細胞によってアルコールが代謝されると、アセトアルデヒド(二日酔いの原因)の増加を引き起こす。これは、腸の細胞にすき間を作り、リーキーガットを悪化させてしまう。
また、アルコールが作る一酸化窒素もリーキーガットを引き起こし、毒素が細胞にダメージをあたえた結果、腸のバリア機能をおかしくしてしまう。その結果、体内に入り込んだ毒素は腸から肝臓へ向かい、さまざまな臓器に炎症を起こす。
とのこと。ざっくりとまとめますと、
- アルコールで腸内に悪い細菌が増える
- その結果、腸に細かな穴が空きまくる
- 穴から毒素が体内に入り込む
- 全身に炎症が起きる!
といった流れ。言わずもがな炎症はあらゆる不調のもとでして、なかなか酒とのつきあい方は難しいなぁとあらためて思った次第です。
精製アルコールには、まだ体が適応できていない
実際、酒で腸内環境がおかしくなるって研究は山ほどありまして、たとえば、
など。意外とアルコールの害はすぐに出ちゃうみたい。
どのレベルを超したら「飲み過ぎ」になるのかはハッキリ言いづらいんですが、超ざっくりした目安としては、およそ2時間の間に男性ならグラス5杯、女性ならグラス4杯ぶんの酒を飲むと腸内細菌たちにダメージが出てくる感じでしょうか。
ちなみに、パレオダイエット的な観点でいいますと、人類がエタノールを代謝できるようになったのは1千万年前ぐらいだとか(4)。人類の歴史から見れば、やや時間の浅い進化だとは言えるかも。
そもそも、お酒の分解能力は、自然に発酵した果物を飲むために発達した機能。少なくとも現代の精製されたアルコールに対しては、まだまだヒトの体が適応していない可能性は高そうであります。
もちろん、一方ではお酒が体にいい!って研究もたくさんありますんで(5)、 結局は「飲み過ぎるなよ」っていう普通の結論になっちゃうのが悩ましい感じ。個人的な体験からすれば、わたしのようなアレルギー持ちや、つねにお腹の具合が悪いような方には、禁酒は激しくオススメしたいところではありますが。
credit: Mark Turner via FindCC