上手い文章を書くための超シンプルなコツ、それは「キーボードをゆっくり叩く」
「ゆっくり書くだけで文章が上手くなる!」って実験(1)がおもしろかったんでメモ。
これはウォータールー大学の実験で、32名の学生を対象にしたもの。全員に「学園生活の思い出」ってお題でエッセイを書いてもらいまして、その際に以下の2グループにわけたんですね。
- いつものようにパソコンで書いてもらう
- 片手だけでキーボードを打ってもらう
その後、すべての文章をテキスト分析ソフトにかけたところ、片手だけを使った学生のほうが、全体的に洗練された単語を使う傾向があったんだそうな。
研究者いわく、
タイピングを使うと、文章がスピーディに書けすぎてしまう。そのせいで文章を書くプロセスに悪影響が出る。わたしたちの文章は、思考とライティングツールの相互作用によってもたらされるからだ。
とのこと。すばやく文章を書くと、あたまに浮かんだ最初の言葉をそのまま使いがちなんで、より正確な単語を探す作業ができなくなっちゃうらしい。そりゃそうでしょうな。
タイピングの速度を遅くするだけで、わたしたちの文章は改善され得る。といっても、別に学生たちに手書きを勧めているわけではない。あくまでも、文章を速く書くことのデメリットを指摘しただけだ。
現代では、より速く文章が書ける機能を搭載したライティングツールが次々に登場している。こういった機能のデメリットを、ちゃんと認識しておくべきだろう。
遅く書くことによる文章の改善効果は、タイピングだけでなく手書きや音声入力でも得られるとのこと。とにかく遅く書けば、ツールはなんでもいいわけですな。
もっとも過去の研究(2)によれば、あんまり遅くタイピングしすぎると、今度は逆にイライラが募って文章がヘタになるらしい。だいたい紙にペンで手書きするぐらいが、正しい単語を思いつくためのベストなスピードみたいっすね。
もちろん、ジャック・ケルアックみたいにタイピングが異様に速い作家もいますんで、いちがいには言えないわけですが、わたしのような凡人はもうちょいスピードをゆるめたほうがよさそう。せっかちなんで、つい入力スピードが速くなっちゃうのよね…。