幸せになりたきゃ「感情の解像度」を上げてみようじゃないか
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ネガティブな感情を活かすのが幸福のカギ
ちょっと前に読んだ「ネガティブな感情が成功を呼ぶ」って本がとても良かったので、ここんとこ、著者であるトッド・カシュダン博士の論文を読んだりしておりました。「ネガティブな感情が成功を呼ぶ」は、ざっくり言うと「怒りや悲しみにも大事な機能があるんだから、上手く活用していこうね!」みたいな内容の一冊。いたずらにネガティブな感情を避けるんじゃなくて、それぞれのメリットを活かそうじゃないか!みたいな話です。
まことにお説ごもっともなんですが、ついネガティブな感情からは逃げたくなっちゃうのが人間というもの。「ネガティブ感情を受け入れよう」と言われても、そう簡単にはいかないもんです。
ってところで面白かったのが、2015年にカシュダン博士が出したレビュー論文(1)。このなかで博士は、ネガティブな感情を上手くあつかう方法として「感情の解像度」って考え方を提唱しておられます。
感情の解像度ってなに?
「感情の解像度」ってのは、論文の定義によると、あいまいな感情を、かなり詳細に言葉にすること
みたいな感じ。つまり、なんか嫌なことがあったときなどに、「気分が悪い!」だけじゃなくて「陰鬱だ!」や「罪悪感が…」のように、もっと正確な言葉で自分の感情を表現できる能力を意味しております。
実は、ここ数年の研究で「感情の解像度が高い人ほど幸福!」って結果が出てまして、たとえば、
- 自分の感情をハッキリ識別できる人ほどセルフコントロールが上手い(2001年,2)
- 感情の解像度が高いと、アルコールのような刺激物に逃げなくなる(2010年,3)
- 感情を上手く説明できる人ほど、他人へも優しい(2012年,4)
- 感情に言葉をつけるのが上手な人は医者にかかる確率が低い(2000年,5)
みたいな感じ。全体的に、感情の解像度が高い人ほどメンタルが安定しやすく、その結果として健康状態もよくなるみたい。
感情の解像度が問題解決に結びつく
なんでこういう違いが出るかといえば、「感情の解像度」が上がることで、目の前の問題を解決するモチベーションに結びつくからであります。具体的な例をあげると、▼感情の解像度が低い場合
- 身に覚えがないことで上司に叱られる
- 「うわー、ムカつくー」と思う
- 感情があいまいなので対応が浮かびづらい
- 怒りがくすぶり続ける
▼感情の解像度が高い場合
- 身に覚えがないことで上司に叱られる
- 「これは理不尽さに対する正当な怒りだ」と思う
- 感情が明確なので、対応の方向性がハッキリする
- 別の上司に相談したり、直に上司に文句を言う気になる
みたいな感じです。怒りや悲しみの方向性があいまいだと、脳もどうしていいかわからなくなっちゃうみたいなんですな。
感情の解像度を上げるには
で、ここでありがたいのが、カシュダン博士は「感情の解像度は向上できる!」と言い切ってるとこ。具体的な方法は簡単で、とにかくいろんな感情表現のボキャブラリーを増やすだけであります。つまり、小説を読むとか、外国語を学ぶなんてのは、感情の解像度を上げる点ではかなり有用。その意味では、「小説を読むと寿命が伸びる」とか「純文学で頭が良くなる」みたいなデータも、感情の解像度が上がったおかげなのかもですな。博士いわく、いったん感情のボキャブラリーが心に組み込まれれば、 あとは現実の生活でも脳が自動的に対応してくれるとのこと。
これから外国語を学ぶときなんかは、日本語に訳しづらい感情表現(Well-beingとか)を意識してみるとおもしろいかもですな。