このブログを検索




武道を習うと良い人間になれるぞ!というナイスなメタ分析

Martial

 

武道とメンタルのメタ分析が出た 

今年の初めぐらいから、何となくテコンドーの道場に通い出したんですけど、そんな私にとって興味深いメタ分析(1)が出ておりました。なんでも、武道をやると攻撃性や怒りといった問題行動が減るというんですな。

 

 

これはUCLAの研究で、過去に出た「武道とメンタル」に関する300以上の論文から、質が高い20件を選んで精査したもの。観察研究のデータだけなのが残念ですけど、わりと信頼性が高い内容になっております。

 



 

空手や柔道の効果をチェック

サンプル数は507人で、6〜18才の子供がメイン。データにふくまれる格闘技は、

 

  • 空手
  • 合気道
  • 柔道
  • テコンドー
  • 拳法
  • マインドフルネスマーシャルアーツ

 

といったところです。マインドフルネスマーシャルアーツってのは初耳だったんですけど、調べたらこんな感じらしい。

 

Supporting the Mental Health and Well-Being of Students with LDs through Integra Mindfulness Martial Arts (Part I) from LDAO on Vimeo.

 

なんというか、柔道に瞑想をミックスしたような感じでしょうか。 いろんな流派があるもんですなぁ。

 

 

武道で人格と人生の質が高まった

で、結論だけざっくり言っちゃうと、

 

  • 格闘技は攻撃的な行動を減らす!その効果量は0.65!

 

みたいな感じ。格闘技歴が長い子供ほどケンカの量が減り、言葉づかいも穏やかになり、QOL(人生の質)もあがり、イジメや万引きのような行動もハッキリと減ったというんですな。平均の効果量も中程度でして、これはかなり良い成績じゃないでしょうか。

 

 

武道で脳機能が向上している可能性が高い

なんで格闘技で良い人間になれるかはよくわからんのですが、研究者いわく、

 

武道による体力と認知の向上が、攻撃性の低下に役立っている可能性がある。おそらく、武道は脳の実行機能に良い影響をあたえ、これが人格の向上に役立つのだろう。

 

とのこと。「実行機能」は脳が決断を下すときに使う能力で、くわしくは「エクササイズで不安や鬱を減らし、ポジティブな感情を増やすための科学的ガイドライン」などをどうぞ。要は、格闘技で自己コントロール能力が上がるから、良い人間になれるんだって仮説です。

 

 

そういえば、過去には「木のぼりで脳機能がアップする!」ってデータもありまして、こちらも大きく関係してそう。この研究によれば、「自分の位置や動作に注意を向けながら動くとワーキングメモリが改善する」って結論なんですよ(手動瞑想にも似てますな)。

 

 

実際、テコンドーをやってると、過去にやったことのない角度で足を上げたりせにゃいかんので、自然と自分の位置と動作に意識が向かいっぱなしになるんですよね。このあたりの要素が脳に効いてる可能性は大いにありそうであります。

 

 

ってことで、とりあえず格闘技がメンタルに効くのは間違いなさげなんで、お子さんの情操教育はもちろん、オッサンの手習いとしてもよろしいのではないでしょうか。ちなみに私の場合は、瞑想の一種としてテコンドーをやってるような感じです。 


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM