オートファジーで体をガンガンに若返らせるためのエクササイズ量とは?
エクササイズでオートファジーを増やすには?
昨日アップした「オートファジーに効くかもしれない食品&サプリ」ってエントリで、「オートファジーを増やすにはエクササイズがベスト」って話に触れたところ「もっと詳しく!」という要望がありますので、もうちょい書きます。
オートファジーってのは、人体にデフォルトで備わったアンチエイジングシステム。こいつを増やす方法はいろいろあるんですけど、近年では「なんだかんだで体を動かすのが一番じゃない?」って見方が主流っぽいんですよ。
では、どれぐらいの運動をすればいいの?ってとこが気になりますけど、ここ数年で、ヒトを対象にした実験がいくつか出てますので、いろいろまとめておきます。
オートファジーとエクササイズ
まず始めが、2015年のオーフス大学の実験(1)。これは「断食 VS. エクササイズ!どっちが筋肉のオートファジーを増やす?」ってところを調べたもので、参加者たちを2つのグループにわけたんですね。
- 36時間の断食
- 最高酸素摂取量の50%でサイクリングを1時間
その結果は、なんとサイクリングの圧勝です。ほんの1時間のサイクリングでも、筋肉内のオートファジーがオンになってて、36時間の断食を大きく上回るレベルで活性かしてたんですな。うーん、すごい。それだったら、断食を耐えるより1時間自転車をこいでたほうがいいって人のほうが多そうですな。
もうひとつ、エクササイズとオートファジーの効果を調べた論文(2)がありまして、こちらはルーヴェン・カトリック大学によるもの。参加者は27人のアスリートで、3つのグループにわけております。
- 8時間だけ何も食べない
- 最高酸素摂取量の55%でサイクリングを2時間
- 最高酸素摂取量の70%でサイクリングを2時間
その結果について研究者いわく、
結論としては、筋肉のオートファジーをオンにするためにもっとも効果的な方法は、食事よりもエクササイズだ。
とのこと。オーフス大学の実験との比較でみると、「とりあえず運動の負荷が高いほど効果あり!」って傾向が出てますんで、個人的にはやっぱ「ノルウェイ式HIIT」や「二極化トレーニング」なんかがよいのではないかと思う次第です。
オートファジーとカロリー制限
ちなみに、もうひとつエクササイズと並んで有効だとされるのが、昔から言われる「カロリー制限」。毎日の食事量を減らすとオートファジーが起動するのは有名な話で、カロリーリストリクションが体に良いと言われる原因のひとつだと考えられてたりします。
この手法について、2016年にいい感じの論文(3)が出てますんで、合わせて紹介しておきます。
これはワシントン大学の研究で、37人のカロリーリストリクション実践者を対象にしたもの。だいたい3〜15年の長さでカロリーリストリクションをしていて、同じ体型の一般人よりも、平均で1日に30%ほど低めの食事量で暮らしてた人を選んだそうな。
その結果はといいますと、
カロリーリストリクションには、明確に多数のオートファジー遺伝子を増やす働きがみられた。ULK1、 ATG101、 beclin-1、 APG12、LC、 GAPRAP/GATE-16、autophagin-1などだ。なかでも、カロリーリストリクショングループの筋肉には、beclin-1とLC3の発現量が普通食のグループより多くみられた。
って感じ。謎のアルファベットが大量に並んでますけど、要するに「カロリーリストリクションはやっぱオートファジーに効きまくる!」って結論です。
こういうのを見ちゃうと試してみたくなるんですけど、個人的に最近の運動量がやたら多いのと、過去のデータではまだカロリーリストリクションの効果がハッキリしてなかったりして、ちょっと悩むとこではあります。アンチエイジングに良いのはほぼ確実っぽいものの、やっぱ日々の食事からマイナス30%ってのはツラいので…。
まとめ
そんなわけで、いろいろ書いてきましたけど、要点をまとめると、
- とりあえず普段はプチ断食でこまめにオートファジーを増やす(エクササイズより格段に効果は低いけど、手軽だからしかたない)
- エクササイズは、できるだけ自分にとって強度が高いものを選ぶ。どれだけやればいいかはまだ不明だけど、1回1〜2時間の軽いサイクリングを週2〜3回か、「ノルウェイ式HIIT」を週2〜3回ぐらいやるのがいい……のかも
- カロリーリストリクションをしてもいいけど、普段の運動量が多い人はQOL(人生の質)かもなので注意(活動に必要なカロリーまで減らしすぎる可能性があるから)
ぐらいの感じです。もっと精度の高いエクササイズ量がわかるまでは時間がかかりそうなんで、とりあえずHIIT系の運動を推奨。