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FPSゲームで脳が縮む!マリオで脳がデカくなる!説

Game

 

FPS系のアクションゲームで脳が縮む!」って実験(1)がおもしろかったんでメモ。

 

 

 



 

週に19時間のプレイで脳が小さく

これはグレゴリーウエスト大学の研究で、2つの実験が行われております。まずひとつめは33人の男女を対象に、「どれだけゲームで遊びますか?」と質問。そのうえで全員をMRIにかけて脳のサイズをチェックしたんですな。

 

 

その結果は、

 

  • 週に19時間以上ゲームをする」と答えた人は、それ以下の人より海馬の灰白質が小さかった!

 

って感じ。海馬は脳の記憶と学習をつかさどるエリアでして、こいつが縮むってのは結構マズそうな気がするわけです。

 

 

過去には「ゲームで脳が大きくなった」とのデータも

ただ、ここで問題なのは、わりと直近に出た系統的レビューでは「ゲームで頭が良くなる!」(海馬が大きくなる)って結論なんですよ。科学の世界で結果に食い違いが出るのはよくある話ですけど、なかなか不思議なものですなぁ。

 

 

もっとも、ここで「ゲームの種類によって脳への影響が違うんじゃない?」と思った人は多いはず。「シムシティ」ファンと「グランド・セフト・オート」ファンでは、当然ながら脳の使い方は違うでしょうからねぇ。上の系統的レビューでは、いろんなジャンルのゲームをまとめて処理してるんで、タイプごとの差はわからないんですよ。

 

 

マリオ VS. コールオブデューティ

ってことで、今回の実験では、もうひとつ「ゲームの種類」による脳への影響もチェックしております。具体的には、43人の男女を以下の2グループにわけたんですね。

 

  1. 「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2」を90時間プレイ
  2. 「スーパーマリオ64」を90時間プレイ

 

「コールオブデューティ」は第一人称視点のシューティングで、「マリオ64」は3D空間を自由に遊ぶアクションゲーム。なぜだか知りませんが、この手の実験では「マリオ64」が使われることが多いっすね。普及率の問題でしょうか。

 

 

結果はマリオの勝ちだった

実験期間は10週間で、どんな違いが出たかと言うと、

 

  • 「コールオブデューティ」のプレイヤーは灰白質が減った
  • 「マリオ64」のプレイヤーは灰白質が増えた

 

って感じ。FPS好きにはちょっと嫌な結果ですね。

 

 

 この違いについて研究者いわく、

 

多くのFPSゲームには、画面上にプレイヤーの位置を示すGPSが表示されている。なかには、道案内用のマーカーがついているケースもある。

 

過去の研究データを見ても、これらのサインを使ったプレイした場合、ユーザーの海馬のメモリーシステムは起動しないことがわかっている。(中略)FPSゲームは、脳の海馬よりも報酬系に働きかけやすい。

 

とのこと。要するに、FPS系のゲームはユーザーの脳を甘やかしすぎなんだ、と。それにくらべて「マリオ64」は3D空間を自由に探索しなければいけないので、脳への負荷が高いわけっすね。実際、2015年の実験でも「マリオ64で脳がデカくなった!」って報告が出てまして、マリオ凄い!と思っちゃう次第です。

 

誰かにゲームを勧めるときは、私なら3D空間を自由に歩き回れるものか、論理的なパズルゲームを選ぶ。これらのゲームが脳に良いのは間違いない。

 

 とのこと。この結果を見ると、オープンワールドでパズル要素が多い「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」なんかは相当に脳に良さげな気もするわけですが、どうなんでしょうね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。