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勉強の「休憩」を使って記憶力をアップさせる技術が発見される

Study

 

 勉強に休憩が必要なのは当然ですが…

勉強したことを頭に定着させるには、軽い休憩が絶対に必要だってのは有名な話。ヒトの脳ってのは休憩時間に記憶をまとめるんで、昼寝をするとか、15分だけ目を閉じて休むとか、勉強のあいまに軽い中断を入れるだけで、学んだことが残りやすくなるんですよね。

 

 

で、新しい論文(1)では、さらに勉強のあとに休むと、その後に学んだことも頭に残りやすくなるよ!って話になってておもしろかったです。



 休憩中に1回目に覚えたことをぼんやり考える

これはテキサス大学の実験で、35人の男女を対象にしたもの。まずはみんなに何枚かの顔写真と物の写真を4回ずつ見せて、その内容を記憶してもらうように頼んだんですね。

 

 

その後、最初の学習が終わったら、全員の脳をfMRIでスキャンしながら休憩。好きなように15分ほど過ごしてもらったら、今度は別の顔写真と物の写真をわたして、再びすべてを記憶してもらったんだそうな。

 

 

なんでわざわざ脳をスキャンしたかというと、参加者が「事前に記憶した顔写真のことを考えているか?」を把握するためであります。脳の「顔認識エリア」が活性しているかどうかをみて、参加者が休憩中になにを思い浮かべているのかを大まかに推測したわけです。

 

 

というと、「最初から『休憩中に写真のことを考えてください』と指示すればいいんじゃないの?」と思われるかもですが、それだと脳が集中モードに入っちゃうので意味がないんですな。あくまで、脳が休憩してぼんやりした状態に切り替わり、なんとなく事前に覚えたことを思い浮かべているような状態を観察したかったわけです。

 

 

ぼんやり考えた参加者は成績が上がった

それでどんな変化が出たかというと、

 

  • 1回目の学習後の休憩で「事前に学習した内容をぼんやりと考えていた」参加者は、1回目の学習だけでなく、2回目に記憶した内容もよく覚えていた
  • 1回目の学習後の休憩で「事前に学習した内容とは違うことを考えた」参加者は、全体的な記憶テストの成績が下がっていた

 

という感じです。 なかなかおもしろい結果が出ましたねー。

 

 

研究者いわく、

 

事前に学んだことを休憩時間に思い出すと、その記憶は強化される。しかし、実は想起の効果はそれだけではない。想起によって、その次に学ぶ内容にも影響をあたえられるのだ。

 

なにか新しいことを学ぶとき、あなたはの心は、新しい学習に関係がありそうな知識をすべて記憶の底から引っ張り出そうとする。この過程で、新しく学んだ知識は、すでに知っている知識のなかに埋め込まれるのだ。

 

とのこと。休憩中に事前に学んだことをぼんやり考えると、それが次の学習に入ったときに「記憶の引っかかり」として作用して、結果的に休憩後の学習もスムーズにいくらしい。

 

 

まとめ

いっぽうで休憩中に別のことを考えちゃうと、たんに事前の記憶が次の記憶と干渉しあうだけになり、結果としてどっちのデータも頭に残らなくなってしまうんだそうな。とりあえず、休憩中には事前の記憶をぼんやりと意識しといて、次の学習の下地を作っておくといいわけですな。

 

ポイントは、この実験の参加者は、あとに別のことを学習するとは知らされていなかった点だ。そのため、彼らはわけもわからずに、事前に学んだ情報の想起を行っていた。それにも関わらず、後に学習した内容の成績は上がったわけだ。

 

私たちは、休憩中にもよく事前に学んだ内容をなんとなく思い返していることがある。これは、脳が自動的に過去のことを思い返すことで、記憶を強化させようとする働きのひとつなのかもしれない。

 

もちろん、これは「顔写真を覚える」という同じ学習を2回にわけて行ったのがポイントで、国語→数学みたいに、あんまりつながりがない科目の場合は関係がないかと思われます。どうぞよしなにー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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