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現代人はスマホを自分の体の一部だと認識している!説

IPhone

  ノモフォビアはなぜ起きるのか?

 「もはやスマホは現代人の体の一部!」って論文(1)がおもしろかったんでメモ。

 

 

これは成均館大学校の研究で、ノモフォビアの問題について調べたもの。ノモフォビアは重度のスマホ依存症のことで、スマホが近くになかったりバッテリーが減ったりすると、

 

  • 心拍数の上昇
  • 血圧の上昇
  • 不安障害

 

みたいな状態になっちゃうんですな。不安障害とまではいかずとも、スマホがないと「なんだか手持ちぶさただなー」ぐらいの感覚になる人は多いのでは。

 



  ノモフォビアはスマホを「自分の一部」と認識するせいで起きる

で、この実験では数千人のスマホユーザーにインタビューを行って、彼らが自分の端末を「どのような表現で説明するか?」を調べたんですね。たとえば、ある人は「スマホは友人と家族との関係を象徴するもの」と言ったり、またある人は「スマホをなくすと自分の一部が消えた気分」と語ったり、いろんな形で自分にとってのスマホを表現してもらったわけです。

 

 

そのうえで、全員のノモフォビアレベルをチェックし、それぞれの答えとくらべたところ、

 

  • ノモフォビア度が高い人ほど「スマホを自分の一部だ」と認識している

 

って傾向があったんですな。無意識のうちにスマホを「自己の延長」だと感じているせいで、ノモフォビアが起きるんだ、と。

 

 

スマホが「良い記憶」と結びつくと自己の延長になる

でもって、スマホが自己の延長になりやすい人の特徴はといいますと、

 

  • スマホで心地よい思い出を作ることが多い人(友人とのコミュニケーションとか、旅行のときの写真の撮影とか)
  • 良い記憶をキープするためにスマホを使う人(思い出の写真を見返したりとか、昔の会話ログを読み返したりとか)

 

だそうな。とにかく自分の「良い記憶」の強化につながる行為は、すべてスマホの自己延長化につながっていくわけっすな。私はスマホがなくてもまったく問題ない人間ですが、ほとんどSNSも使わないし(友人が少ないから)、ほとんど写真も撮らない(めんどうだから)せいで、端末が自己の延長になってないんでしょうな。

 

 

研究チームいわく、

 

ノモフォビアやFOMO(重大なニュースを見逃すことへの恐怖)、FoBo(ネットにつながらないことへの恐怖)など、最新の技術によって生まれた不安は、すべて伝統的な恐怖症(高所恐怖症や社交不安など)と同じようにあつかうことができるだろう。

 

最新機器を定期的にオフにするだけでも不安は減り、ネットにつながらない恐怖にも耐性がつくようになる。

 

とのこと。ノモフォビアも昔ながらの恐怖症と似たようなもんなので、エクスポージャーみたいな伝統的な治療法が効くだろう、とのことであります。

 

 

そんなわけで、スマホが自分の延長になっちゃってるような方は、定期的に端末と距離をおくのがよさげ。スマホのバッテリーが減るとドキドキしちゃうような方はご注意ください。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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