フェイクニュースを信じた相手を説得するのはほぼ不可能!というメタ分析
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フェイクニュースを信じた人を説得できるのか?
フェイクニュースの問題が騒がしい昨今でございますが、新たに「ニセ情報を信じちゃった人の考えを変えるにはどうすればいいの?」ってところをガッツリ調べてくれた論文(1)が出ておりました。
これはイリノイ大学の研究で、1994〜2015年のあいだに出た「間違った情報を信じ込んでいる人を正す方法はあるのか?」に関する論文から質が高い 6,878人分のデータをまとめたメタ分析になっております。ってことで信頼性はそこそこ高め。
思い込みを完全に修正するのはほぼ不可能
多くの実験では、
- 参加者にあえて間違った情報を読ませる(オバマの医療改革は老人を殺す陰謀だ!みたいなやつ)
- そのうえで、参加者に新しい情報を伝えたり、感情に訴えてニセ情報を信じないようお願いしたりと、いろいろ試す
って手順で「他人の思い込みを解く方法」について調べております。
その結果、まず何がわかったかと言いますと、
誤情報の影響は非常に強い。一般的に、ある程度の思い込みを正すことはできるが、完全に修正するのはほぼ不可能だ。
ってことで、かなり負け戦なムードですね(笑)。いったんフェイクニュースを信じ込んじゃったら、もはや逆洗脳をかけるのは絶望的っぽい。確かに、いったんニセ医療を信じちゃった人に改宗してもらうのって超難しいですからねぇ…。
思い込みをどうにか修正する3つの技法
ただし「かろうじて効果が見られた」手法もあるにはありまして、研究チームは3つのポイントにまとめてくれております。
- 1.相手を説得するときは、ニセ情報の細部をくり返してはいけない。つまり「考えてごらん?ホメオパシーは100倍の希釈を30回もくり返すんだよ?そんなに薄めたら原子すら残らなくなるだろ?」みたいな説明はダメだってことですな。これをやると「相手の心はより頑なになり、新しい情報を受け入れる気持ちが消えてしまう」とのこと。わかるなぁ。
- 2.新しい情報の細部を伝えるのは効果がある。つまり「ホメオパシーの試験はRCTが一件もないんだよ。効果があると結論づけた有名な論文も、実は研究者のバイアスがあったことがわかってるんだ」みたいな説得のしかたはアリでってことですね。研究チームいわく、「たんに相手の思い込みを『間違いだ』と指摘しても効果はない。できるだけ細かく新たな情報を伝えよう」とのこと。
- 3.とりあえずもっと調べるように促すのも効果がある。「ホメオパシーのページは他にもいっぱいあるからさ、ググって出てきたやつを上から全部読んでみなよ」といった感じで反論の情報に触れさせる確率を上げる。反論に何度か触れるうちに、少しずつ懐疑の芽が育っていくとのこと。
ってことで、相手の考えを変えようと思ったら、とにかく別の情報をできるだけ細かくぶつけ続けるしかないみたい。根気よく続ければ「受け手のメンタルモデルはアップデートされ、誤った情報が上書きされていく」とのこと。まぁそれだけやっても徒労に終わる可能性も高いわけですが…。というか、自分が誤情報を信じたときのことを考えると悩ましい…。