結局、「優しい人」は人生において得なのか損なのか
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優しい人はどんな人生を送るのか
当ブログでは、よく「正確な性格テスト」としてビッグファイブを取り上げてますが、このなかでイマイチ影が薄いのが「調和性」であります。これは「他人と調和して生きられるかどうか」を示す指標で、調和性が高いほど「優しい人」と判断されがち。調和性の影が薄いってのは学問の世界の話で、たとえば「誠実性や開放性が高いと頭がいい!」とか「神経症な人は意外と創造性が高い!」といったデータは山ほどあるのに、調和性についてはあんま研究例が少ないんですよね。不思議なもんです。
ってことで、ここでは「調和性」が高い方に向けて、「優しい人はどんな人生になりやすいのか?」ってとこをまとめときます。自分の調和性を知りたい方は、「3分で自分の性格を正しく理解する「ショートビッグファイブ検査」」などをどーぞ。
調和性が高い人ほど年収が低い?
そこでまずおもしろいのが2012年の研究(1)。コーネル大学が1万人の男女を調べた研究で、全員を20年ほど追跡調査して「調和性」と年収の関係を調べたんだそうな。それで何がわかったかというと、
- 調和性が低い人は、調和性が高い人にくらべて年収が18%高い!
だったらしい。どうやら、調和性が高くて優しい人は、嫌な人にくらべて稼ぎが低くなっちゃうみたいなんですな。これはつらい。
もっと詳しく言うと、調和性が高い人は年間で約110万円ぐらい年収が低い傾向があったとのこと。なかなかの差が出てますねぇ。
さらに、2012年にルイジアナ州立大学が行った調査(2)でも、「調和性が高い人ほどクレジットスコアが低い」って傾向があったらしい。クレジットスコアってのは借金の信用度を表してまして、期限までにお金を返さないような人ほど数値が下がっていくんですな。優しい性格の人は、意外と金銭感覚がゆるいみたい。不思議なもんですなぁ。
が、調和性が高いほど幸福な人生を送る
というと、「優しい人」には何のメリットもなさそうですが、もちろんそんなこともございません。2010年にテキサス大学が行ったレビュー論(3)によりますと、調和性の高さは、以下の傾向との相関がある。質の高い友人関係、円満な子育て、高学歴、よりよいキャリア、健康。過去の文献をレビューしていく限り、調和性の高さは、よりい人間関係、幸福、成功などへの道だ。
だったそうな。「優しい人」ってのは人間関係が良好になりやすいため、満足度の高い人生を送りやすいわけですね。こちらは素晴らしい結論になってますな。
ここまでデータが食い違う理由は不明ですが、おそらくはペンシルバニア大学のアダム・グラント博士が言ってる「他人に優しい人は成功しやすいが、いっぽうで優しい人は人生に失敗しやすい」ってのがあるんでしょう。基本的には「優しい人」のほうが成功しやすいんだけど、あまりにも他人に奉仕しすぎちゃうとワークライフバランスが崩壊しちゃう、という。
そんなわけで暫定的な結論ではありますが、「調和性」が高い方は、ぜひその長所を伸ばす方向で行動していただければ幸いです。ただし、あまりにも優しすぎるとヤバいので、「科学的に正しい「人助けで幸福度を増すための4箇条」」などを参考に立ち回ってみるといいかも。