年末の「休日太り」のダメージを極限まで減らすにはどうすべきか?
ホリデーシーズンの体重増加を防ぐには?
そろそろ仕事納めですが、とかくホリデーシーズンってのは太りやすいわけです。ついつい食べ過ぎちゃいますからねぇ。
で、近ごろおもしろかったのが、ノバ・サウスイースタン大学のレビュー論文(1)。これは、過去に出た「食い過ぎと体重増加」に関するデータをまとめたもの。一般的に「どうすれば痩せるの?」を調べた研究は多いんですけど、「食い過ぎるとどうなるの?」をチェックしたデータは少ないんで、なかなか貴重なレビューかと思います。
ちょっと細かく言うと、25件の論文が「食べ過ぎによる体型の変化」を報告してて、13件が「運動不足の状態で40〜60%ほどカロリーオーバーの食事を続けたらどうなる?」ってとこを調べております。実験期間はだいたい数週間から数カ月って感じ。
とりあえず飽和脂肪酸には気をつけたい
では、このレビューのポイントをだらーっとまとめていきます。
- 当然、食べ過ぎが数週間も続けば太る。ただしこれは個人差が大きすぎるため、平均値を出すのは難しい
- 食い過ぎで増えた体重のほとんどは「体脂肪」である
- カロリー源の違い(炭水化物がメインか、脂肪がメインか)は、体重の増え方に影響しない。つまり、どんなものを食べても同じように太る。糖質を減らせばOKとか思ってどか食いすると死ぬ
- ただし、唯一「飽和脂肪酸」(肉とか乳製品に入ってるやつね)は、「不飽和脂肪酸」(魚に入ってるやつね)よりも確実に体脂肪になりやすい(81% vs. 50%)
というわけで、基本的には「糖質制限」をしようが「低脂肪」に気をつけようが、食った分だけは体脂肪が増えるという当たり前の話でした。とりあえず「飽和脂肪酸には気をつけや!」とは言えるので、そのへんはご注意ください。
体重1kgあたり2.4gのタンパク質が効くかも
となると、ホリデーシーズンの増量は不可避のような印象もありますが、いちおうこの論文では、ちょっとした希望も記されております。
というのも、7件の論文で「食い過ぎとタンパク質」の関係を調べてまして、これがホリデーシーズンの増量に役立つっぽいんですな。たとえばある実験では、参加者に大量のカロリーを摂ってもらったんですが、その際に、
- 体重1kgあたり2.4kgのタンパク質を食べる
- 体重1kgあたり1.7kgのタンパク質を食べる
- 体重1kgあたり1.2kgのタンパク質を食べる
といった3グループにわけたところ、「タンパク質2.4kgグループ」のみ体重の増加が抑えられたんだそうな(他のグループには有意差なし)。
また別の実験では、カロリーオーバーの食事をする参加者に対して0.7 g/kg、1.8 g/kg、3.0 g/kgの3パターンでタンパク質を調整したところ、1.8 g/kと3.0 g/kgには筋肉量の増加がみられたらしい。いっぽう、この実験ではタンパク質量の違いによる体重増加の差は確認されなかったそうで、ここらへんの食い違いの理由は謎。
もっとも面白い結果が出てるのは2015年の実験(3)で、48人のアスリートが対象。どんな実験かというと、
- すべての参加者にオーバーカロリーの食事をしつつ筋トレを続けてもらう
- 参加者を2つのグループにわけ、1日のタンパク質量を2.4〜4.4g/kg、または1.0〜2.4g/kgに設定
って感じです。すると、高タンパクで筋トレを続けたグループだけは、
- 体脂肪の増加がスローペースになった
- 体脂肪率へのダメージも少なかった
という結果だったんですね。以前にも「プロテインを1%増やすだけでも総摂取カロリーは50kcalも減る」なんてデータを紹介しましたが、やっぱタンパク質って優秀だなーという印象。
まとめ
以上の話をふまえてホリデーシーズンの対策をまとめると、
- できるだけ飽和脂肪酸は減らす!
- できるだけタンパク質を増やす!
- ついでに筋トレもできればベター!
ってとこでしょうね。もちろん摂取カロリーに気をつけるのが一番ですけど、たまの休みにそこまで気を張りたくないですからねぇ。
また、上記の実験では1日に体重1kgあたり4.4gものタンパク質を摂ってますが、これは常人には困難でしょうから、せめて1日に1.5〜2.2g/kgぐらいを目指していただきたいところです。その根拠については、「国が定めた「推奨タンパク質量」が、実はまったく足りてなかった件」などをご参照ください。