現代では誰もが「みんな俺よりリア充だ!」と思っている説
みんな「俺は他人より非リア充だ!」と思ってる
「あなたの友達の半分は、あなたを友達だと思っていない!」みたいな話もあるとおり、とかく人間は感覚と現実が食い違う生き物なわけです。その原因はご存じ「認知のゆがみ」でして、とかくヒトの脳は事実を間違って解釈しがちなんですな。
で、新しいデータ(1)では、「みんな『自分は他人よりリア充じゃない』と思っている!」って結論になってておもしろかったです。
自分が思う他人の暮らしと、他人の現実の暮らしをくらべてみた
これはコーネル大学の研究で、3,293人の男女を対象にしたもの。全部で11個の実験をしてますが、基本的なデザインは同じで、
- 参加者に対して、友人、家族、同僚はどんな社会生活を送っていると思うかを聞く
- 参加者の友人、家族、同僚に、実際にどんな社会生活を送っているのかを聞く
って感じです。参加者が思う「他人の暮らし」を、実際のライフスタイルとくらべたわけですな。
そして、すべての実験で一貫して浮かび上がったのが、
- 「みんな俺よりリア充だ!」とほぼ全員が思っていた
って事実であります。いやー面白いもんですね。
本来、人は「うぬぼれバイアス」を持っている
この結果がちょっと面白いのは、過去のデータでは「たいていの人は自分をより良く見積もりがち」って結果が出てるとこですね。たとえば、たいていの人は自分は他人より頭がいいと思ってるし、健康だと思ってるし、道徳的な人間だと思ってるし、運転が上手いと思ってる……みたいな話を聞いたことがある方は多いかと思います。どうやら、人間の心には、生まれつき「うぬぼれバイアス」が装備されてるみたいなんですよね。
もっとも、このバイアスは悪いもんじゃありませんで、自分に対して適度なうぬぼれがないと、厳しい現実を生きていくのは意外と難しいんですよ。実際、「鬱病になりやすい人ほど現実を正確に見ている」みたいなデータもありますし、人間の心は「自分は他人より劣っている」って事実に耐えられないみたいなんですな。
現代社会では身近な人との比較が増えた
その点で「うぬぼれ」はショックアブソーバーの役割を果たしてるんですけど、なぜか「リア充問題」についてはバイアスが効かないってのは面白いもんです。このような現象が起きる理由はよくわからんですが、研究チームは「現代では比較の対象がズレてるからじゃない?」と推測しておられます。
要するに、過去の社会では「近所の人の暮らし」が主な比較対象で、テレビで見る有名人の生活は「どこか遠い人」みたいな印象だったわけっすね。ところが、現在ではネットの発達により「自分に近い人の充実(して見える)ライフスタイル」が比較の対象になっちゃったもんで、「うぬぼれバイアス」のベースラインが上がったんじゃないのか、と。
確かに、SNSが生んだ「他人との比較」が現代人を不幸にしている!って話は昔からありましたし、インスタグラムが「メンタルに悪いSNSのトップ」に選ばれたのも、そのへんが影響してるのかもですな。まぁ急に「他人と自分を比べるな!」と言われても難しいかもしれませんが、そのへんを意識しながらSNSに接するだけでも大分違ってくるかと思われます。