「食前にサラダを食べよう!」ってダイエットテクはどこまで使えるのか?
食前のサラダで食欲は減るか?
よく「食前にサラダを食べると痩せる!」とか「食前にスープを飲むと痩せる!」とか言うじゃないですか。食事の前にカロリーが低いものを胃に入れておけば、その後でハイカロリーなものを食べたくなくなるって理屈であります。
なんとなく直感では正しそうに思えんですけど、実は、このテクニックって意外と科学界では意見が一致してなかったんですよ。というのも、いろいろと実験は行われたものの、それぞれの結果が食い違ってたりして、統一見解を出すのが難しかったんですな。
そんな状況下、ついに「食前のサラダで食欲は抑えられるのか?」問題を徹底的に調べた研究(1)が出まして、なかなか参考になります。
食前の水分または食物繊維で総摂取カロリーが減る
これは過去に行われたダイエット研究から、割と実験デザインがよい35件を抜き出したもの。当ブログではおなじみのメタ分析になっていて、信頼度が高くてよいのではないかと。
ちょっと具体的に言うと、全体のサンプル数は1,273人で、
- 食前にカロリーが低いものを食べる(サラダとか水とか)
- 食前にカロリーが高いものを食べる(チーズとか脂肪分とか)
という2パターンのうち、どっちが食欲が減るのかを比べております。
その結果がどうだったかというと、まず一番大事なポイントは、
- 食前に水分または食物繊維を摂ると、平均でその後の摂取カロリーが94kcal減る!
って感じです。食前のサラダは正しかったわけですねー。水か食物繊維で94kcalも総摂取カロリーが減るんなら、試さない手はないですなぁ。
まぁこのへんは当然といえば当然でして、水分や食物繊維が多い食品は胃の中にとどまる時間が長いですからねぇ。そのぶんだけ満腹が続きやすいんだと思われます。
食前の糖質を減らすと摂取カロリーは増える
で、さらに結果には続きがありまして、
- 食前に脂肪分の量を調整しても、摂取カロリーには変化がなかった
- 食前に糖質の量を減らすと、摂取カロリーは増える傾向があった(平均で52kcal)
って報告も出ておりました。つまり食前にスープを飲むときは、脂肪分が少ないものを選んだほうがいいんでしょうな。
また、食前に糖質を減らすと摂取カロリーが増えるってのも面白いポイント。ハッキリしたメカニズムはよくわからんですが、糖質を摂ると満腹ホルモンが出るんで(インスリンとかCCKとか)、そのせいで一時的に空腹がおさまるのかもしれんですな。
食前食の効果はそこまで長続きしないので注意
さらに残りのポイントとしては、
- 水分や食物繊維のカロリー減少効果はすぐに消える
って結果も出てますんでご注意ください。あくまで水分と食物繊維が効くのは食前に摂ったときだけで、たとえば朝にいくらサラダを食べても昼食や夕食のカロリー摂取量には変化が出ておりませんので。
できるだけ素材に近いもの食べたほうが効果は高い
そんなわけで、食前のサラダはダイエットに効くようですが、ここで大事なのは「できるだけ素材の原型に近い状態で食べたほうがよさげ」ってとこです。具体的にデータを見ますと、たとえば食前にリンゴを食べる場合は、
- リンゴをまるごと食べる
- アップルソースで食べる
- アップルジュースに食物繊維を足す
- アップルジュースだけを飲む
の4パターンでくらべると、リンゴをまるごと食べたグループがもっとも総摂取カロリーが減り、その次がアップルソースで、3番手がアップルジュース+食物繊維の順番に効果があったんですよ。
いっぽうでアップルジュースだけを飲んだグループには何の変化も起きなかったそうで、見事に「素材に近いものほど食欲を抑える効果が高い」って結果になってたりします。このあたりは、「なるたけ自然に近いものを食べよう!」と主張するパレオダイエットにも通じるとこっすね。
ちなみに当ブログでは、「食事の満腹度が高い食品」のリストも過去に紹介してますんで、あわせて食前食の参考になさっていただければ幸いです。