思い出したい内容が、どうしても思い出せない!に激しく効く「カテゴリークラスターリコール」とは?
「あれが思い出せない!」問題をどうするか
とかく人間は忘れやすい生き物なわけです。私も記憶は苦手なほうでして、たとえば「先週の土曜日に何をしてた?」とか聞かれてもとっさには思い出せないことがしばしば。意識して「記憶の宮殿」とかを使っていかないと難しいんですよねー(年齢のせいもあるのもしれませんが)。
ってところで、今度は「思い出したいことを効率よく思い出す方法がわかったよー」って論文(1)が出てておもしろいです。
カテゴリークラスターリコールとは?
これはオーストラリアのジェームズクック大学による実験で、200人の参加者に「女性が引ったくりの被害にあうビデオ」を2分ほど見てもらった後で、2パターンの指示を出しております。
- フリーリコール:動画のなかで何が起きたかを自由に思い出してもらう。いわゆる普通の思い出し方
- カテゴリークラスターリコール(CCR):動画の内容をいくつかのカテゴリーに分けて、それぞれの項目ごとに思い出していく
CCRの方法がわかりづらいですが、研究者いわく、
カテゴリークラスターリコールを使うにあたって、まず目撃者に被害者がどんな見た目だったかを思い出すように導いた。続いて彼らが何をしたか、次に犯罪が起こった環境について思い出してもらった。
といった感じで自分の記憶を探ってもらったらしい。好きなように思い出すんじゃなくて、あえて記憶に区切りを入れていくイメージですかね。
カテゴリークラスターリコールを使うと記憶の正確性が格段に上がる
で、結果はCCRの完勝です。実験では「ひとりで思い出す」や「グループで思い出す」などのパターンも試してるんですが、いずれの状況でもCCRを使ったほうが正確に動画の内容を思い出す確率が上がったんだそうな(34.85 vs. 26.55)。
研究者いわく、
過去の「記憶」研究によれば、多くの人たちは無意識のうちにクラスター群化によって情報を想起することが多いことが、少なくとも1960年代から明らかになっていた。これらの実験の多くは単語リストを使ったもので、それぞれの言葉をカテゴリー分けしてから思い出したほうが正答率は高くなった。
とのこと。つまり、例えば英単語を思い出したいときは、好きな順番で記憶を探るのではなく、「pelvisは『骨』のカテゴリーに関する単語で……」とか「anconeusは『筋肉』のカテゴリーで……」とか、いったん自分なりに分類してみたほうがいいわけっね。
おそらく、いったん特定の情報カテゴリーに意識を集中するのが大事なのだろう。まずは被害者の見た目に関する記憶を探ると、それに関する記憶が出て来やすくなるのだ。
とのこと。そこらじゅうの畑を無闇に掘り返すよりも、事前に探索エリアを決めておいたほうが、芋づる式に記憶を見つけやすくなるんだ、と。カテゴリーがあったほうが連想が効きやすいってのはよくわかる話ですね。
そんなわけで、私も「1週間前に何をしてたか?」とかを思い出したいときは、まずは「場所」や「環境」などのカテゴリーから記憶を探り始めて、続いて「一緒にいた人」みたいにカテゴリー作戦を使って行こうかと思います。わりと汎用性が高そうな方法ですね。