「ココナッツオイルにはまともな研究データが存在しない!」って、そんなことはないでしょう!という話
ココナッツオイルにはヒトを対象にした試験がない?
こないだ「ココナッツオイルは純粋な毒だ!はどこまで正しいのか?問題」なんて話を書きまして。
ざっくり言えば「ココナッツオイルは最悪だ!」とハーバードの教授が言い切った動画が話題になりまして、それに対して「いやー、さすがにそれは……」って私見を述べたものです。そりゃココナッツオイルがエリクサーだとは言いませんが、毒ってことはないでしょう、みたいな感じ。
といったところ、「教授は『ココナッツオイルにはヒトを対象にした試験がない』と言ってますけど、これは本当ですか?」みたいなご質問をいただいたんですな。確かに、この動画で教授は「ココナッツオイルにはまともなデータがない」と言ってるんですよね。
が、これについては明らかに間違い(勘違い?)だったりします。なんで教授がそこまで言い切ったかはわかりませんが、普通にヒトを対象にした実験は行われてますので。
ここ最近のナイスなココナッツオイル研究たち
ってことで、ここでは近年に行われたココナッツオイル研究をかるーくまとめときます。
1 ココナッツオイルで炎症が減った?
ひとつめはインドの2017年論文(1)で58人の男女を2グループにわけております。
- 1日100gのココナッツオイルを飲む(91%が飽和脂肪酸)
- 1日100gのピーナッツオイルを飲む(19%が飽和脂肪酸)
ってことで、飽和脂肪酸の量がかなり違いますな。実験期間は90日でどんな違いが出るかをチェックしたところ、
ピーナッツオイルにくらべて、赤血球や脂質にかかわる要素には有意なレベルで悪影響が出なかった。
だったんですな。こんだけ飽和脂肪酸をとってりゃ何か悪いことが起きそうなもんですが、とくになんもなかったみたい。それどころか、
ココナッツオイルを飲んだグループには、HDLコレステロールとDGLAの前駆体の増加が確認された。
とのこと。DGLAってのは抗炎症作用とか抗アレルギー作用をもつ脂肪酸でして、こりゃあなかなか良いのはないか?と思われるわけです。
もっとも、データを見ると、ココナッツオイルを飲んだグループはLDLコレステロールも増える傾向が出てまして、これが長引けばどうなるかは不明。90日の実験では判断しづらいとこではあります。まぁ1日100gもココナッツオイルを使う人はレアでしょうから、別に気にしなくてもいいのかもですが。
2 ココナッツオイルには何の悪影響もない!
もうひとつもインドで行われた2017年の実験(2)で、こちらは98人の男女が対象。全体を、
- ココナッツオイルを毎日使う
- サンフラワーオイルを毎日使う
の2グループにわけて、なんと2年もの追跡調査を行っております。なかなかの労作ですねー。
でもってどんな結果が出たかと言いますと、
被験者の体型、血管機能、心疾患の発症などには2年後の時点でも有意な違いは確認されなかった。
だったそうな。こちらでは、ココナッツオイルは良くも悪くもないんじゃないの?って結論ですね。
3 ココナッツオイルでダイエットがはかどった!
3つめ(3)は2018年にペルナンブコ国立大学が行った実験で、75人の肥満ぎみな女性が対象。実験期間は8週間で、みんなに「カロリー制限をしてくださいねー」と指示したうえで、
- ココナッツオイルを毎日飲む
- サフラワーオイルを毎日飲む
- チアオイルを毎日飲む
- 大豆オイルを毎日飲む
の4グループにわけて様子をみたんですな。その結果、参加者の体重と体脂肪は以下のようになりました。
COがココナッツオイルのグループですが、他の3種類にくらべて明らかに体重も体脂肪も減ってたりします。ちなみに、この実験では1回2gのココナッツオイルを1日3回ずつ食事の30分前に飲んだとのこと。
さらに、ほかの数値を見ても、ココナッツオイルグループはHbA1cが改善してるのもナイスなポイント。中鎖脂肪酸は体脂肪が減りやすいってのは以前にも出てた結果なんで驚かないですが、HbA1cの変化はちょっとおもしろいっすね。
まとめ
ってことで、近ごろのココナッツオイル研究でめぼしいものを取り上げてみました。個人的な雑観としては、
- やっぱココナッツオイルが毒だとはどうしても思えない
- ただ、コレステロールとか中性脂肪に良い影響があるかはまだハッキリ言えない
- カロリー制限時の脂質補給に使うとダイエットが加速する可能性は結構ある
ぐらいのとこですね。ココナッツオイルの”メリット”についてはまだ未知数なところが大きいものの、やっぱ”デメリット”はそんな心配しなくてもいいんじゃないすかねぇ。