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頭を悪くしたくない中高年は筋トレだ!筋トレをすべきだ!と思わせる観察研究の話

 

頭の良さと体重には大きな関係がある!ってのはよく言われる話。たとえば過去に紹介したところでは、

 

 

みたいな知見がありまして、どうやら私と同じぐらいのアラフォー男女ほど、体重の増加による脳のダメージは大きいっぽいんですよね。

 

 

で、またも「体重が増えると脳の働きが衰える!」みたいなデータ(R)が出てまして、さらに詳しいところを調べてくれておりました。

 

 

これはイギリスのバイオバンクが集めた4431人分のデータセットを使ったもので、全体的に60歳ぐらいの中高年男女を対象にしております。ここで具体的にどんなことを調べたのかと言いますと、

 

  • 筋肉の量
  • 内臓脂肪
  • 皮下脂肪

 

ってあたりを6年間にわたってチェックしまして、これを流動性知能の変化と比べた内容になっております。

 

 

流動性知能ってのがどんなものかと言いますと、

 

  • ものごとを短期的に記憶する能力
  • 新しい問題を解決するために、すばやく論理的にに考える能力

 

みたいな感じでして、だいたい他人から「あの人は頭の回転が早いねー」と言われるような人は、流動的な知能が高いケースが多いです。個人的にも流動的知能が欲しいなーとは常々思うところですが、IQテストのたびに「まぁまぁ」って結果が出るのでへこんでおります(笑)

 

 

でもって、このタイプの知能は20歳から30歳ぐらいの期間にピークを迎えて、その後はしばらく頭打ちになったあと、加齢とともにゆっくりと衰えていく傾向があるんですよ。この現象ばかりはどうにもならないものの、人によって衰え方がだいぶ違うみたいなんですね。

 

 

さて、それでは分析の結果なにがわかったかと言いますと、

 

  • 40歳代と50歳代でお腹に脂肪が多い人は、年齢が高くなるにつれて知能が低くなる
  • 逆に、40歳代と50歳代で筋肉が多い人は知能が低くなりにくかった
  • 以上の関係は、年齢、教育レベル、経済状況を調整しても確認された

 

だったそうです。研究チームいわく、

 

実年齢は、流動的知能が衰える要因ではないようだ。本当に問題なのは、おそらく生物学的な年齢なのだろう。すなわち脂肪と筋肉の量だ。

 

ということで、歳をとって脳が衰えるのはシンプルに加齢のせいではなくて、多くの中年は運動不足で筋肉が衰え、食べ過ぎで脂肪がついてしまうのが原因なんじゃないか、と。もちろん観察研究なんで決定的な話じゃないものの、「35歳から筋トレをスタートしといて良かったなぁ……」とは思いましたね。

 

 

ちなみに、この研究では免疫システムの活動の変化が流動的知能と関係してるどうかにも調べてたりします。というのも、これまでの研究では、BMIが大きい人ほど免疫系の活性が高く、そのせいで脳の働きに問題が起こす可能性が指摘されてきたもんですから。

 

 

すると、結果は以下のようになりました。

 

  • 女性の場合は、肥満と知能と悪化は免疫システムの活性で説明できる(具体的にはリンパ球と好酸球の変化)
  • 男性の場合は、好塩基球の変化が肥満と知能と悪化の関係性の約半分を説明できた

 

つまり、これがどんな流れかと言いますと、

 

  1. 肥満のせいで免疫システムが活性
  2. そのせいで脳に炎症が起きる

 

みたいなことっすね。やっぱ免疫の問題はデカいですなぁ。

 

 

そんなわけで、「脳を衰えさせたくない中高年は筋トレだ!」というのが本稿の結論になりましょう。あらためて筋トレに身が入りますなぁ……。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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