「炎症オヤジは脳が小さい!」という研究
15,000人の炎症を調べた
「体が炎症してる中年は脳が小さいぞ!」っていう恐ろしい研究(1)が出ておりました。
これはベイラー大学やミネソタ大学の共同研究で、およそ15,000人の男女を追っかけた観察研究になっております。参加者の年齢は45〜65才で、もうすぐ42才になる私も他人事じゃない感じ。
5つの炎症マーカーと脳の関係は?
研究では、全員に血液検査をおこなったうえで、以下の5ポイントを調べたらしい。
- フィブリノゲン
- アルブミン
- ヴォン・ヴィレブランド因子
- 第VIII因子
- 白血球の数
いずれも、血液が詰まったり、なんらかの感染が起きたときに増えやすい物質で、体内の炎症レベルを判断するのに使われるケースが多め。「そもそも炎症ってなに?」という方は、「あらゆる不調を引き起こす慢性炎症の話」をどうぞ。
研究期間はおよそ24年で、すべての参加者からランダムに1,978人をセレクト。全員に「10個の単語を覚える」っていう記憶テストを指示したうえで、みんなの脳をMRIで調べたんだそうな。
炎症してる中年&初老は脳が5%ぐらい小さかった
それで何がわかったかというと、
- 炎症レベルが高い人ほど脳が小さい!
って事実であります。具体的には、炎症レベルが上昇してた人は、
- 海馬が4.6%減=記憶力に関係している
- 後頭葉が5.7%減=視覚的な情報を処理する
- 大脳が5.3%減=高次な脳の機能をつかさどる。アルツハイマーにかかった人は、大脳が小さくなることがわかっている
といった大事なエリアがことごとく小さかったらしい。当然ながら記憶力テストにも悪影響が出てまして、炎症レベルが低い人は10点満点中5.5ポイントが平均だったのに対し、炎症している人は平均5ポイントだったとのこと。ぱっと見はたいした差でもないですけど、積み重ねていったらどえらいことになりそうっすね。
若いうちから炎症対策は必須
ほかに押さえておきたいポイントとしては、
- 若い頃に炎症が多かった人は、年を取ってから脳が縮む可能性もデカくなる
- 炎症と脳の縮小に男女の差はない
といったところがありましょう。とにかく若いうちから炎症対策をしておくに超したことはないわけですな。
もちろん、この研究にはいくつかの欠点がありまして、
- 調査開始時に参加者の脳のサイズを測ってない(つまり、たまたま海馬や後頭葉が小さい人が選ばれたのかもしれない)
- 観察研究なので因果関係はわからない(つまり、海馬が小さいと炎症が進むのかもしれない)
といったあたりは、このデータだけじゃわからんところではあります。
まぁ体内の炎症にとって血管や細胞が傷つくってのはほぼ確実なんで、脳がダメージを受けても不思議じゃないとは思います。もうちょい研究が進めば、血液検査で脳のダメージを予測できる日も来る……のかも。
とりあえずそれまでは、
などを参考にしつつ炎症対策に励んでおくしかなさそうです。私もアルブミンの数値とか調べてみようかな……。