外国語で物事を考えると合理的な判断がしやすくなるらしいぞ
外国語の学習は脳にイイ!ってデータは山ほどあるんですけど、新しい論文(1)では、「合理的な思考力が高まるよ!」って結果が出てておもしろいです。
架空の日常をイメージさせる
これはトレント大学の研究で、400人のドイツ語のネイティブスピーカーを対象にしたもの。英語が堪能な人だけを選んで、全員に「架空の日常」を想像してもらったんだそうな。
架空の日常ってのは、
- 自分が大学入試の前だと想像する
- 大事な仕事の面接の朝だと想像する
みたいな感じ。誰でも人生で一度は体験するような内容をイメージしてもらったわけですね。
母国語と外国語で非合理な想像をすると…
その際、各シナリオには、欧米で定番の迷信やジンクスをこっそり入れ込んでおいたらしい。具体的には、
- ネガティブな迷信:「鏡が割れた」とか「黒猫が横切った」とか
- ポジティブな迷信:「流れ星を見つけた」とか
といったところ。非合理な迷信を頭に思い描かせて、参加者たちの気分の変化を調べたんですね。
で、この実験のポイントは、架空の日常をイメージするときに「ドイツ語」と「英語」の両方で実践させたところ。言語を切り替えることで、非合理な現象への態度が変わるかをチェックしたわけですな。
外国語で考えると非合理な思考に左右されにくくなる
そこで、どのような違いが出たかというと、
- ドイツ語(母国語)で迷信をイメージした場合は、非合理な思考に感情が巻き込まれやすかった
- 英語(外国語)で迷信をイメージした場合は、非合理な思考に感情が揺れなかった
だったらしい。母国語を使うと「鏡が割れる」ってイメージでネガティブな感情が起きちゃうのに、外国語を使ったときはメンタルが影響されなかったらしい。つまり、外国語で物事を考えると、非合理な思考に影響されにくくなるんだ、と。おもしろいもんですなぁ。
こういった現象が起きる理由は簡単で、外国語のほうが客観性が保てるからであります。母国語の場合は、「鏡が割れた」と聞くと自動的に不吉なイメージが浮かび上がるんだけど、外国語の場合は連想が働かないので、「鏡が割れた」ってフレーズは文字通り「鏡が割れた」って現象としか捉えられないわけですな。
まとめ
この研究がナイスなのは、意外とラクに合理性がアップすることがわかったことでしょう。以前に「判断力をつけるためのトレーニング方法」でも書いたとおり、難しい問題に正しい判断を下すには合理性を鍛えるのが一番ですからねぇ。
まぁ今回の研究を応用するには、外国語が堪能じゃないと不可能ですが、インスタントに客観性を手に入れる方法としては、
なんてのもありますんで、各自よろしいものを見つけていただければ幸いです。どうぞよしなに。