デューク大学「不安に強い脳を作るためのトレーニング法はこれだ!」
不安になりやすい人の脳はどうなってる?
「不安に打ち勝つための脳トレを見つけたよ!」って論文 (1)がおもしろかったんでメモ。
これはデューク大学の研究で、120人の男女が対象。不安になりやすい人だけを集めて、fMRIで脳の状態をチェックしたらしい。
というのも、同じ研究チームが以前に行った実験によれば、不安になりやすい人の脳ってのは、
- 周囲の脅威に対して過剰に反応しやすい
- 報酬があっても反応しにくい
って特徴があることがわかってたんですね。要するに、嫌なことには必要以上に敏感になり、良いことにはテンションが上がりにくい脳を持ってるわけです。かくいう私もこの傾向がありまして、なんだかイヤになっちゃいますな。
不安脳に立ち向かうには?
そこで、この問題について「なんか対策はないの?」ってとこを調べたのが今回の実験。研究者いわく、
不安や鬱から身を守り、最悪の状態から立ち直るための方法を探すのが目的だった。
とのこと。不安になりやすい脳を上手く取り扱うテクニックを調べてみたわけっすね。
実験では、全体を2つのグループにわけまして、
- 記憶力を使うような問題を解く(暗算とか神経衰弱とか)
- 何もしない
って状態にしたあとで、それぞれに「怖い顔」や「怒った顔」の写真を見せて、参加者の不安をかき立ててみたんだそうな。
ちょっと難しい問題を解くと不安に強くなる
すると、何らかの問題を解いた参加者には変化が出まして、
脳のDLPFC機能が活性化した者は、脳の不均衡(驚異に弱くて報酬に無反応)が現れなかった。
とのこと。DLPFCってのは日本語でいうと「背外側前頭前野」で、モチベーションを調整したり、ネガティブな感情を整えたりしております。「パレオダイエットの教科書」では「運動をすると脳の実行機能がアップして頭が良くなるよー」みたいな話を書いてますが、この実行機能も司ってるエリアだったりします。
つまり、この実験から得られる教訓としては、
- 不安になりそうだったら「ちょっと難しい問題」を解けばいいんじゃない?
ってことですね。暗算でもパズルゲームでも何でもいいんですけど、脳の「問題解決機能」にちょっとした負荷をかけてやることでDLPFCが活性化し、ネガティブな感情に強くなるのではないか、と。確かに、目の前の仕事を片付けていくうちに嫌な気分が消えていく現象は、よく体験するところです。
この発見は、気分、不安、鬱症状といった感情機能を改善するテクニックとして使えるかもしれない。直接的に症状に介入するのではなく、一般的な認知機能を間接的に改善していくのだ。
ってことで、もし不安に飲み込まれそうな状態になったら、「DLPFCに負荷をかけるには?」って方向で考えてみるのも一興。ほかにも、DLPFCはドーパミンの分泌と結びついてるんで。「やる気ホルモン「ドーパミン」を増やす方法17選」で紹介した方法も使えるかと思われます。ご参照ください。