運動のパフォーマンスを上げたきゃビタミンDだ!というメタ分析
ビタミンDで運動の能力が上がる?
当ブログでは、何度となくビタミンD を推してきたわけです。ビタミンDは体内で数百の働きをしてくれる大事な栄養素で、とにかく不足するとヒドい災害が起きるんですな。
で、そこで昔から言われるのが「ビタミンDで運動のパフォーマンスが上がるんじゃない?」みたいな話。なんせビタミンDってのは、筋肉細胞の成長に影響したり、カルシウムやリンを筋細胞に送り込んだり、筋肉を発達させる遺伝子を推進したりと、とにかく運動能力にいろいろ関わってるんですよ。
そこで、実際に「アスリートがビタミンDを飲んだらどうなる?」ってとこをガッツリ調べた論文(1)が出まして、非常によい感じです。
ビタミンDと運動のメタ分析が出た
これはマクマスター大学の研究で、過去13件の実験から531人のアスリートのデータをまとめたメタ分析になっております。アスリートの種類はサッカープレイヤー、ジョッキー、NASCARのピットクルーなど様々で、実験の時点では、およそ全体の73%がビタミンD不足(30 ng/mL以下)だったそうな。アスリートでも意外とビタミンDは管理できてないもんなんですねぇ。
では、以下にざっくりした結論です。
- 1日2,000IUのビタミンDでは、体内の不足分を補うことはできない(特に冬場の場合)
- 1日のビタミンD摂取が3,000IUを超えたあたりから血中レベルは15 ng/mLになり、5,000IUになると28 ng/mLまで達する
- ビタミンDの不足がサプリで補われた場合は……
- 握力が2.56kg向上!
- ジャンプ力もやや上昇!
- ベンチプレスの最大筋力は2kg向上!
- 走力、レッグプレス、水泳のタイムなどには影響が見られなかった
って感じでして、やはりビタミンDの補充は運動のパフォーマンスを上げる働きがあるっぽい。大まかな目安でいうと、1日3,000IU以上のビタミンDを12週間ほど続けると良い結果が得られるみたいですな。
ところで、「なんで握力に注目してるの?」と思った方もいらっしゃるかもですが、これは「握力は他の筋肉と相関してるから」です。つまり、握力が強い人は全身の筋肉量も多い傾向が高いんで、お手軽な指標として使いやすいんですよ。「ヒトの死亡率は握手の力強さにあらわれる」 なんてデータもありますしね。
ちなみに、このメタ分析にふくまれるデータのひとつでは、「ビタミンDが足りない人ほど運動のケガも多い(全体の77%)」って傾向も出てるんですが、こちらはまだどれだけ信頼していいかは不明。ビタミンDでパフォーマンスが上がるなら、ケガが減ってもおかしくないような気もしますが、くわしくはまだ謎っすね。
まとめ
ってことで、全体的に見れば「運動のパフォーマンスを上げたきゃビタミンDを補充だ!」と言ってよさそう。個々の実験もデザインが良くてよろしいのではないでしょうか。
もちろん、これはアスリートが対象の実験なので、一般人にどこまで適用できるかは不明ではあります。が、「ビタミンDをぜひとも飲むべき理由」でも書いたとおり、近年では昔よりもビタミンDの推奨摂取量が増えてるんで、まぁ1日3,000IUぐらい飲んでもよいのではないかと。特に私のような引きこもりの方には、ぜひとも適量をキープしていただきたく存じます。
あとビタミンDのサプリですが、これは定評があるNOW社の「ビタミンD3 1000IU」などを買って、自分の好みの量で飲んでいただければOKであります。どうぞよしなに。