今週半ばの小ネタ:見知らぬ人に話しかけて幸福度アップ、猫が喜ぶ音楽、人間の死はつねに人ごと
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
幸せになりたきゃ、とりあえず見知らぬ人に話しかけとけ!
「幸せになりたきゃ、とりあえず見知らぬ人に話しかけとけ!」という私のような人見知りには辛いデータ(R)が出ておりました。
これがどんな実験だったかと言いますと、
- 被験者をスターバックスに向かわせて、「コーヒーを注文するときにバリスタと会話をしてね!」と指示する
- コントロール群には、「雑談はせずすみやかにコーヒーを購入してね!」と指示する
みたいになってます。その後、両グループの幸福度を比べたところ、
- 会話をした人は、会話をしていない人と比べてポジティブな感情が増し(p=0.004)、ネガティブな感情が減り(p=0.04)、人生の満足度が増え(p=0.10)、社会への帰属意識が増した(p=0.01)
ってことで、ほんの数秒ほどバリスタと世間話(「花粉症つらいですねー」みたいな)をしただけで、結構なレベルで被験者の幸福感が上がったそうな。
まぁ「他人との対話で幸福度が上がる」って話は昔からよくあったんで驚きは無いわけですが、目的が決まってない世間話が苦手な私には「それはわかってるんですけどねぇ……」みたいな話でしたね。
猫が喜ぶ音楽はこれだ!
「猫が喜ぶ音楽はこれだ!」という猫好きにはたまらないデータ(R)が出ておりました。
これはルイジアナ州立大学の研究で、デザインはこんな感じになってます。
- 20匹の猫を病院に集めて健康診断を行う
- 同時に、研究チームが開発した「猫が喜ぶ音楽を流す」または「クラシック音楽を流す」「無音」の3パターンで猫のストレス反応をチェックする
「猫が喜ぶ音楽」ってのは、猫の泣き声の周波数に似た音声で作ったリラックスミュージックで、具体的には以下のリンクで公開されてます。
でもって、どんな傾向が確認されたかと言いますと、
- 「猫が喜ぶ音楽」を聞いた猫は、クラシックや無音よりもストレス反応が低かった!
だったそうです(ただし生理的な反応は変わらず)。おもしろいっすねぇ。
というわけで、さっそく拙宅の猫をスピーカーの近くに誘導して上記の音楽を流してみたんですが、特に興味を示さずにすぐどこかに行っちゃいました。うーん、他の猫の反応も知りたい……。
人間は「自分の死」を認めないメカニズムを持っている
「最高の体調」では「人間はつねに死の恐怖におびえている!」みたいな話をしたわけですが、新たな研究(R)でも「大抵の人は『死はいつも他人ごと!』」って結論になってて納得でありました。
これはバル・イラン大学の実験で、デザインはこんな感じになってます。
- 24人の男女を集めて、「墓」とか「葬式」といった「死」に関する単語と「他人の顔写真」を見せつつ脳波を測定する
- さらに「墓」とか「葬式」といった「死」に関する単語と「自分の顔写真」を見せつつ脳波を測定する
- 被験者の脳がどう反応したかを調べる
というわけで、死のイメージに対して「他人の顔」と「自分の顔」の両方を見てもらい、脳の反応に違いが出るかを調べたわけっすね。
そこで何がわかったかと言いますと、
- 他人の顔と死のイメージを結びつけられた場合、脳は驚きの反応を示す
- 自分の顔と死のイメージを結びつけられた場合、脳は驚きの反応を示さない
だったそうです。つまりヒトの脳ってのは、他人の死には驚くのに自分の死には反応しない性質を持ってるんだ、と。
というと、「ヒトは自分の死に動じないの?」みたいに思っちゃいそうですが、研究チームはこう言っておられます。
自分の死を連想させるような情報を提示されると、脳は自身に備わった予測システムをシャットダウンさせ、「この死は他人ことだ」と考えるように仕向けている。
ってことで、ヒトの脳は自分の死を認めたくないので、すぐに脳機能を停止させて、現実から目をそむけようとするわけですね。
まぁ原始の世界でいちいち自分の死を怖がってたら生き残るのは難しかったでしょうからねぇ。こういうメカニズムが備わったのも当たり前なのかもしれません。