今週末の小ネタ:マインドフルネスが痛みに効く、記憶力を下げない食事、自傷行為が止まらない人
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
肉体の痛みがマインドフルネスで減少
「肉体の痛みがマインドフルネスで減少するぞ!」って話(R)が出ておりました。これは17人の男女を対象にしたテストで、
- 被験者の前腕に45–48°Cの高熱を浴びせる
- 熱の痛みに対して「普通に反応する」か「熱に意識を向けて、その不快を受け入れるようにする」のどちらかを指示
- 脳スキャンで、被験者の反応を見る
みたいになってます。つまり、アクセプタンス系のマインドフルネスを行ったら、高熱の苦しみがやわらぐかどうかを調べたわけっすね。
すると、マインドフルネスを使った場合は明確な違いが出まして、
- 高温に意識を向けて受け入れた場合は、前腕の感覚が「普通に温かい」レベルまで減少した
- スキャンの結果を見ても、不快を受け入れた場合は反応が弱くなっていた
だったそうで、マインドフルネスを使ったら、脳が高熱に対しても平熱であるかのような反応を示したそうな。この効果は、瞑想を始めたばかりの人でも得られたそうで、まことにすばらしいことですなー。
研究チームいわく、
痛みや否定的な感情を経験しているときに、その場にとどまることができるスキルは、慢性的な痛みについて臨床的な利点があることを示唆する。
というわけで、やっぱマインドフルネスの訓練は良さそうだなーとか思う次第です。
記憶力を下げたくないなら野菜!フルーツ!高タンパクだ!
脳の幸福度を高めるなら野菜とフルーツだ!みたいな話はいまや常識になりつつあるわけですが、新しいデータ(R)も「記憶力を下げたくないなら野菜とフルーツだ!」といった内容になっておりました。
具体的には139,096人のオーストラリア人をほぼ十年間にわたって追跡したデータセットを使ってまして、食事と記憶力の相関を見ております。そこで分かったことをまとめると、
- 1日に2サービング分の野菜やフルーツを摂取すると、高齢者の認知機能の低下スピードが限界まで遅くなる
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特に緑色葉野菜は、記憶力の維持にもっとも強い相関を示した
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タンパク質が豊富な食事も、記憶力の維持と相関があった
というわけで、野菜!フルーツ!高タンパク!というパレオっぽい食事があらためて良い成果を出した感じになっております。まぁ納得の結果ですよね。
自傷行為が止まらない人の特徴とは?
「自傷行為が止まらない人の特徴」について調べたデータ(R)が、なかなか勉強になる内容になっておりました。
これは米国と英国に住む650人を対象にアンケート調査をしたもので、「自傷を行う理由」について調べたところ、以下のような結果が得られたそうな。
- 自傷行為を行う人は、自傷について肯定的な見解を持つパターンと、否定的な見解を持つパターンに分かれる
- 肯定的な見解を持つ人は、自傷を「安全感を与え、保護の感覚をもたらし、自分にパワフルな感覚を呼び起こす」と捉えている
- 否定的な見解を持つ人は、自傷を「弱さの表れであり、恥ずべきことだ」と捉えている
- 自傷行為に肯定的な考えを持つ人は、自傷行為をする可能性が約3倍高い
- 「恥をかいた」という感情は、自傷行為をもっとも引き起こしやすい
とのことで、やはり全体的に見ると、自傷行為を行う人は肯定にせよ否定にせよ、自傷についてゆがんだイメージがあるのだろうなーという印象があるわけです。
ちなみに、現時点で自傷行為に対する効果が認められている治療法としては、認知行動療法および弁証法的行動療法がありますので、お悩みの方はお試しいただくとよいのではないかと。