他人の表情から心を読むのは不可能!ならば我々はいかに他人の内面を判断すればいいのか?問題
表情から他人の感情は読めるか?ってのは昔ながらの疑問で、いまだ肯定派と否定派が争ってる段階だったりします。
ただ、現時点ではかなり否定派が優勢な感じではありまして、わりと最近の系統的レビューでもぼろぼろに言われてたりします。要するに、表情から感情を読むのは不可能だ!って意見のほうが強いわけっすね。
でもって、新しい研究(R)でも「そもそも人間の感情は顔の筋肉に等しく反映されない」みたいな結論になってて、また否定派が優勢な感じになっておりました。これはオハイオ州立大学の研究で、まずはチームが下した結論から言っちゃうとこんな感じ。
私たちは顔の表現から感情を本当に判断できるのだろうか? 基本的な結論は「ノー」だ。
ってことで、かなり断定的に否定してますね。
今回の研究は、もともと「顔の表情を分析するコンピューター・アルゴリズムはできないかな?」って動機からスタートしてまして、チームが何をやったかというと、
- 人間の顔の筋肉の動きをいくつかのパターンに分析
- その筋肉の動きを、その人が感じている感情と比較する
みたいになってます。表情から感情を読むためには、当然ながら筋肉の動きと感情がだいたい一致してないといけないわけですが、そもそも筋肉と感情は対応してるのか?って問題っすね。
その結果がどうだったかと言いますと、
筋肉の動きから感情を定義するのは不可能だった。どんな人でも状況や文化的な背景に応じて異なる表情をするし、笑顔を見せているからといって幸せだとは限らない。逆に笑顔がないからといって不幸ではない。また、私たちは社会規範に対する義務からほほ笑むことも少なくないだろう。当たり前の話のようだが、この事実をつい忘れてしまう人は多い。
だったそうで、やはりかなりハッキリと否定しておられます。たとえば、「ゴールを決めて大喜びのサッカー選手」の写真を顔だけトリミングして見せたところ、大半の被験者は「この人はすごくイライラしている」や「何かにすごく怒っている」と判断したそうな。サッカーって文脈を取り除いちゃうと、急に人間の内面は読めなくなっちゃうわけですな。
にもかかわらず、一部の企業は顔の筋肉の動きを認識する製品を開発し、その動きに感情や意図を割り当てる技術の開発を始めている。なかには、誰かが犯罪を犯したかどうかや、学生が授業中に注意を払っているかどうか、購入後に顧客が満足しているかどうかなどを表情から判断できると主張する人も少なくない。
今回の調査が示したのは、それらの主張が完全にでたらめだということだ。
まぁ確かに「人間の内面は顔に出る!」と思い込んでたら、簡単に冤罪が発生しそうではありますな。
では、ヒトの内面は完全に表面に出ないのかといえばそうでもなくて、
- 顔の色は感情の手がかりになる!(特定の感情を経験すると脳の血流が変わり、顔色が変わる)
- 表情よりは姿勢のほうが内面を反映しているケースが多い!
だったそうです。これもまた分かりやすい話っすね。
というわけで、やはり表情から内面を探るのは得策じゃなさそうですが、結局のところは「他人の心を読むにはコンテクストが大事!」ってポイントは間違いなさそうなんで、
って結論になるんでしょうなぁ。