「表情から相手の感情を読もう!」みたいな話がボコボコにされてた件
「表情から相手の感情を読もうぜ!」みたいな話は昔からあって、当ブログでも過去に「相手の表情でウソを見抜く「微表情」トレーニングって使えるの?」みたいな話を書いたことがありました。
くわしくは前のエントリをお読みいただければと思いますが、とりあえず現時点での結論でいうと、
- 表情から他人の心を読むのは無理じゃない?
- 表情を読むトレーニングとかあるけど意味なくない?
って考え方が優勢な感じでして、どうにも他人の表情を性格に読むってのは難しそうなんすよね。
そんな状況下、「表情から感情を読めるかどうかを徹底的に調べたぞ!」って内容の論文(R)が出ておりました。これはノースイースタン大学の研究で、過去に行われた1,000近い「表情研究」をまとめた系統的レビューになってます。研究チームいわく、
人間の感情は顔から読めるのか? 感情表現は全ての人類に共通するのか? これらのトピックは、少なくとも100年にわたって科学者が議論を続けてきた。
ってことで、メタ分析とかはしてないものの、かなり正解に近い結論が出てるんじゃないかと思います。
でもって、大量のデータを分析した結果、どんな結論にたどりついたかと言いますと、
- 「人間の表情から感情を推測できる」という考え方には科学的な根拠がない!
だったそうです。こんだけのデータをひっくり返しても、「表情で感情がわかる!」って説を支持するものは見つからなかったみたい。
表情が当てにならない原因について、ここでは大きく2つが挙げられております。
- 同一性の低さ:同じ感情がいつも同じ表情として表現されるわけではない
- 一般性の低さ:文化やコンテクストによって感情の現れ方は変わる
とのこと。いろんな要素によって人間の感情表現はコロコロ変わるので、表情にこだわっても意味がないんだ、と。
我々の感情表現は、特定の文化や近くの人間、文脈などに大きく左右される。
もし相手が笑っていたとしても、それが本当に幸福感の表現なのかを正しく推測するのは不可能だ。同じように、しかめっ面でも怒っているとは限らないし、眉をひそめたからといって悲しいのだとも限らない。
確かに、言われてみればそんなもんかもしれませんなぁ。さらに研究チームいわく、
今回の調査から、「人々はランダムに感情表現を行っている」や「表情にはなんの意味もない」といった結論を導きたいわけではない。ここでわかったのは、我々の表情は確実に内面を反映する「指紋」のようなものではないし、信頼できる指標にもならないという点だ。
ってことで、表情から内面を読もうとするなよ!ってポイントが強調されておりました。
もっとも、だからと言って相手の内面を読むのが不可能ってわけではなく、
といったあたりは見込みがあるのではないかと思います。いずれにせよ、他人を読むのに表情を使うのはイマイチですよーってあたりは押さえておきたいところっすね。