「お腹が張って苦しい!」は"あれ"の量を減らすと改善するかもよ?というデータの話
「お腹が張って苦しい!」とか「腹が重い!」みたいな症状にお悩みの人は多いと聞きますが、近ごろそんな方に使えそうな論文(R)が出ておりました。
これはジョンズホプキンス大学の研究で、1998–1999に行われたRCTのデータを再分析したという変わり種の内容になっております。具体的には高血圧に悩む412人の男女を対象にした実験で、そのうち36.7%が腹部膨満感に苦しんでいたとのこと。
でもって、実験ではみんなに2タイプの食事法を指示してます。
- DASH食(1日の食物繊維が32g)
- 普通の食事(1日の食物繊維が11g)
DASHは高血圧を治すために開発された食事法で、過去に取りあげた「MINDダイエット」に近い内容のもの。基本的には食物繊維をたっぷりとって飽和脂肪を減らす感じで、昔から血圧の改善には一定の評価があったりします。
さらに、ここでは1日の食塩の量もいくつかのパターンに分けてまして、
- 1日50mmolのナトリウム
- 1日100mmolのナトリウム
- 1日150mmolのナトリウム
って感じでランダムに塩の量を分けてます(いずれも2100kcalあたり)。mmolって単位がわかりにくいかもですが、だいたい小さじ一杯の塩(6g)は、104mmolぐらいのナトリウムをふくむとお考えください。ちなみに、最近はWHOなんかが「1日の塩は5gまで!」とか言ってますんで、そこから考えると1日150mmolはオーバー気味ですな。
おおまかな実験デザインは以上でして、要するにここで研究チームは「お腹の張りって食物繊維と塩が原因なのでは?」と考えたわけです。食物繊維といえば当ブログでは「最高の健康アイテム」として有名ですが、一方では腸内細菌の手で分解されて大量のガスを発生させるのも有名な話。そのせいで、お腹の調子が悪い人にはデメリットにもなりかねないんですよね。
果たして、30日後のデータは研究チームの予想どおりでして、
- 食物繊維が多い食事はお腹の張りを41%も増加させる!
- ナトリウムが少ない食事はお腹の張りが27%も減る!
だったそうな。ただ、食物繊維とお腹の張りに関係があるのはわかりやすいんですけど、なんで塩が悪さをするのかは謎です。
いちおう研究チームは、
ナトリウムの摂取が腸内細菌に影響を与え、硫化ガスの生成量を変えるのではないか?
と推測しておられますが、くわしいところはこれからの研究次第って感じです。まぁ過去にも食塩で腸内の良い最近が死ぬかも?って話はあったんで(R)、あり得る話のようにも思いますが。
ってことで、お腹の張りにお悩みの方は、
- まずは塩の量を限界まで減らしてみる!
- それでもダメなら食物繊維も減らしてみる!
って手順で改善を試みるとよろしいかもしれません。どうぞよしなに。