「他人の表情を読む」よりもっと正確に相手の心を見抜く方法
相手の心を見抜く方法とは?
ちょい前に「表情で相手の心は読めるの?」なんて話題に触れたところ、「もっと確実に相手の心を見抜く方法があるよ!」って論文(1)が出ておりました。
これは12人の男女を対象にした実験で、まずは全員に50枚の写真を見てもらったんですな。それぞれの写真は「戦争シーン」のようなネガティブなものから、「赤ちゃんの笑顔」のようなポジティブなものまで様々。12人が写真を見ている様子は、すべてビデオで記録していったらしい。
で、その動画を今度は73名の別の参加者に公開。そのうえで「12人の感情を推測してください」と指示したんだそうな。
シミュレーション戦略が大事
おもしろいのが、このとき参加者たちに「2種類の戦略」を取るようにお願いしたところ。具体的には、
- 理論化戦略:12人の表情やボディランゲージをもとに感情を見抜こうとする
- シミュレーション:12人の男女の視点を想像して感情を見抜こうとする
みたいな感じ。その結果はハッキリしてまして、
- シミュレーション戦略のほうが正確に相手の状態を判断できる
- 理論化とシミュレーションを同時に使っても、特に正確性が高まるわけではない
だったみたい。相手の表情や動きから感情を見抜くよりも相手の身になって考えたほうが、結局は人の心は見抜けるんだ、と。この傾向は本論の5つの実験ですべて共通してまして、要は共感力が大事ってこってすな。
つい「相手の表情」から心を探ろうとしがちだが…
多くの人たちは、他人の心を「行動」や「外見」から推測できると考えている。しかし、実際は「その人の立場になってみる」方法のほうが正確性は高い。
それにも関わらず、たいていの人は、相手の表情や動きから内面を推測しようとしがちだ。この思い込みはとても強力で、いったん「相手の立場になる」戦略のほうが効果的なことがわかっても、なお大半の参加者は、相手の見た目から内面を見抜こうとし続けた。
ってことで、どうも私たちのなかには「人間の心は顔や行動に最も表れる!」ってバイアスがあるみたい。そうかもしれませんなぁ。
私たちは、「顔には内面が表れる」という考え方を、驚くほど過剰に信じ込んでいる。そのくせ、相手の身になって考える方法の正確さを低く見積もりがちだ。
そんなわけで次から相手の心を見抜きたいときは、「相手の立場になる!」って戦略を意識してみるとよさげです。どうぞよしなに。