心拍変動を鍛えてストレスに強くなれる?「エムウェーブ2」を買ってみたぞ
心拍変動トレーニングマシンを買ったりとか
「emWave2(エムウェーブ2)」という珍妙なガジェットを試してみました。ハートマス社の公式サイトから購入しまして、送料込みでお値段31,921円。いやー、高いですね(笑)
エムウェーブ2は、手のひらサイズの黒い箱みたいな形をしています。何をする機械かと言うと、ズバリ「心拍変動トレーニングマシン」なんですねー。「心拍変動を鍛えてストレスに強いメンタルになろう!」って趣旨のガジェットであります。
ストレスに強い人ほど心拍変動が高い?
心拍変動ってのは、簡単に言っちゃうと「心拍数のゆらぎ」のことです。
心拍数がメトロノームのように一定のリズムを刻むもんだと思われていたのは大昔の話。近年では、健康な人ほど心拍数のタイミングに微妙なズレがあるって事実がわかってきたんですね(1)。この状態を、「心拍変動が高い」と呼んでおります。
逆に心拍変動が低い人もおりまして、その特徴は、
- シンプルに老化:基本的には若い人ほど心拍変動は高い
- なんらかの病気:たとえば糖尿病の人は心拍変動が低いことがわかっている
- 精神的なストレス:ストレス過多な人ほど心拍変動が低くなっていく
みたいな感じ。基本的には、心と体が弱ったときほど心拍変動は低い傾向があるんすな。つまり、1分間の心拍数が6ぐらいの人が2人いた場合でも、片方だけはメンタルが弱ってる可能性もあるわけですね。
心拍変動トレーニングの効果には不明点が多い
ってことで、ここ十数年で出てきたのが「心拍変動をトレーニングしたらメンタルが強くなるんじゃね?」みたいな考え方。「スタンフォードの自分を変える教室」でも「心拍変動を高くすれば意志力が上がる!」なんて主張がなされておりました。
といっても、心拍変動トレーニングの研究は不明なとこが多くて、2010年のレビュー論文(1)では、過去のいくつかの実験を参照したうえで「長期的な効果はわからんけど心と体の治療にはそれなりに効くかもよ」ぐらいの結論。エムウェーブについては2014年に28人を対象に実験が行われてまして(2)、
- エムウェーブでトレーニングをしても安静時の心拍変動には影響がない
- ただし、ストレスからの「立ち直り力」には変化がある……かも
みたいな結果が出たらしい。うーん、微妙。正直なところ、現時点ではデータが少なすぎて、とても「心拍変動トレーニングマシンはオススメ!」と言えるような状況じゃないです。それでも試してみたくなるのが、私の悪いクセと申しますか(笑)
さて、エムウェーブには2つのセンサーがついてまして、ひとつは耳たぶに挟んで使うもの。
本体にもセンサーがついていて、親指を置いて計測します。こっちのほうが楽なんだけど、どうも耳たぶセンサーのほうが感度がいいっぽい。
使用中の光景はこんな風になってます。ゲージの青ランプが上下する動きにあわせて、自分の呼吸をコントロールしていけばOK。心拍数がよい感じになっていくと、上のライトが赤から緑に変わっていきます。瞑想トレーニングにも使えそうな感じですな。
いまんとこの感想
で、しばらく使ってみましたけど、これはよくわかりませんね。自分のなかでは特に変化が起きた感覚もないのに、勝手にランプが緑になったりするんで困っちゃうんですよねぇ。初めて空手道場に行ったのに「君は素質がある!」と言われたような戸惑いと言いますか(笑)
いまんとこは腑に落ちないとこが多いですけど、とりあえずもうちょい続けてみて、安静時の心拍数がどうなるかを「OURA Ring」でチェックしてみようと思います。さてどうなりますか。
最後に、くり返しになりますけど、エムウェーブの効果については、まだ科学的にはほぼ実証されておりませんのでご注意ください。私のような物好き以外は、たぶん買ったら損した気分になると思いますんで(笑)