仲が良いだけのチームは不要!成果がめちゃくちゃ高いチームは何が違うのか?を調べたメタ分析のお話
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個人よりもチームで働く方が大きな成果を出しやすいのは周知の事実。個人の時間にはどうしても限界があるんで、みんなで取り組んだ方がいいのは当たり前でしょう。
では、チームのメリットを活かすにはどうすればいいの?ってことで、「成果を出すグループは何が違うのか?」を調べたメタ分析(R)が出ておりました。まずは研究チームの問題意識を紹介すると、
現代社会はより仮想的でグローバルな方に向かって発展を続けており、それにともなって職場のコミュニケーション法も変わっていく。この新しい状況下で、どうすればチームはより上のパフォーマンスを発揮できるのかを理解する必要がある。
みたいになってます。主筆のジェシカ・メスメル・マグナス博士は職場の人間関係に関する研究で有名な人で、過去の研究から考えると、
- グループによる意思決定は、”うまくいけば"ほぼ常に個人の成果を上まわる
- ただし、グループが効率的に動作するケースは非常に少なく、下手すりゃ個人の成果を下まわることもある
とのこと。実際はチームのメリットは計り知れないのに、たいていはうまく機能してないせいで、本来の良さを活かしきれてないんだ、と。確かにどの組織にもありそうな問題ですな。
そこでウィルミントン大学などのチームは約4,795のグループと17,279人以上の人々をふくむ72件の研究をピックアップ。うまく機能しているチームは何が違うのか?って問題を調べてくれてます。全体のデータの質はそこそこな感じですが、類似の研究がなかなかないのでよろしいんじゃないでしょうか。
分析の結果、生産性が高いチームは何が違ったのかと言いますと、
- みんなで新しい情報を交換し合う作業に時間を費やすチームほど、全体的に作業を達成する能力が高かった
ってのが最大のポイントになります。「自分が知らない情報をゲットしやすい」のはチームで働く大きなメリットなんで、ある意味で当然の結果だと言えましょう。
ただし、現実にはほとんどのチームが「他のメンバーがすでに知っている情報を議論することに時間を費やしていた」ってな傾向もあったそうで、実際にはみんな周知の話ばっかしてるらしい。もったいないことですなぁ。
もっともこれは自分でも覚えがある話で、会社員時代の会議なんかを思い出すと「お互いに共通するエピソードばっかしゃべってたなぁ」みたいな気もするわけです(雑誌の編集時に起きたトラブルとか)。これは一時的に会議を盛り上げる働きはあるんだけど、確かに最終的な成果にはつながらないんすよね。
実際、このメタ分析の結果では、
- 会議中にメンバーがよりオープンに話していたグループは、お互いの関係性がとてもよかった
- ただし、会話の量が多いグループは、実際には「使える情報」を共有する量が少なかった
という傾向が確認されてまして、「あーやっぱりなぁ」みたいな感じっすね。
研究チームいわく、
この結果が示唆しているのは、メンバー間での会話が多いからといって、有益な情報が共有されているわけではないということだ。むしろ、チームがどれだけ話しているかよりも、何について話しているかの方が重要だ。
とのこと。チームの会話量が多いのは良いことのように思えますが、実際にはただのムダ話で終わってるケースが非常に多いんだ、と。
では、生産性が高いチームはどのようなコミュニケーションを取っていたかと言いますと、
- チームのディスカッションを構造化する(「今日はこの議題についてまず10分だけアイデアを出し合い、そのあとで10分で検討して……」みたいに対話のプロトコルを事前に決めておく)
- 「みんなで合意に至りましょう!」ではなく、「ベストな答えを出すようにしようぜ!」って意識が全員のあいだで共有されている
- とにかく全員が「この会話では『新しい情報』や『ユニークな情報』を伝えることを目指すぞ!」という意識を共有している
だったそうです。チームのメリットは新しい情報の共有にあるので、とにかくそこのポイントを満たすように行動しようぜ!ってことですね。まぁそりゃそうでしょうな。
チームは個人よりも情報面で優位に立っており、多様な個人的経験、文化的視点、専門分野、学歴などから豊富な情報が得られ、その情報をもとに、意思決定に必要なガイドラインを導き出すことができる。
ってことで、チームで働いてらっしゃる皆さまにおかれましては、「みんな仲が良いか?」よりも「斬新な情報は行き渡っているか?」ってポイントを気になされませ。どっとはらい。