今週末の小ネタ:マインドフルネスと食べ過ぎ(食べなさすぎ)、アニサキス激増問題、左利きの人ってどれぐらいいるの?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。 新型コロナに関する新しいデータがいくつか出てたので、今回はそこらへんのまとめなど。
マインドフルネスで摂食障害がやわらぐ?
「マインドフルネスで摂食障害がやわらぐぞ!」ってなメタ分析(R)が出ておりました。
これは過去のマインドフルネス研究から70の論文を選び、18,402人のデータをまとめたものでして、いきなり結論部から引用すると、
今回のメタ分析は、自分の体への不満や摂食障害に苦しむ人たちは、マインドフルネスのトレーニングでメリットを受けられる可能性が高いことを示唆する 。
みたいになってまして、基本的にマインドフルネスは食べ過ぎや食べなさすぎにある程度の効果があったそうな。具体的な数値がどんなもんだったかと言うと、
- マインドフルネスと摂食障害の相関は-.25だった
- もっとも強い相関が見つかったのは、感情的な食べ過ぎ(-.29)、自分への体の不満(-.29)、暴食(-.28)だった
- マインドフルネスが効く理由としては、マインドフルネスの「判断をしない」(-.25)という側面と「意識的に行動する」(-.23)という側面が関係してるっぽい
だったそうです。研究チームいわく、
「判断をしない」というスキルが身につけば、自分の体や食べ物についての考えや感情を受け入れることができ、無秩序な摂食行動がやわらぐ可能性がある。また、「意識して行動する」スキルが身につけば、自動的に食事に手を伸ばす行動が抑制され、結果的に摂食障害がやわらぐ可能性がある。
とのことで、全体的に見ればさほどの相関でもないですけど、ストレスで食べすぎてしまう!みたいな方はマインドフルネスを試すのもいいかもしれませんな。
アニサキスが激増してる問題
魚の寄生虫量が激増してるぞ!といういやげなメタ分析(R)が出ておりました。
これはワシントン大学の研究でして、1967 〜 2017年までに出た寄生虫系のデータ123件をまとめたものです。その結果を端的に言っちゃうと、
- 1978年から2015年までの調査期間中に、魚のなかに生息するアニサキスの数は283倍に増加した。一方でシュードテラノーバの数に変化はなかった(どちらも人体に入ると腹痛や吐き気などが起きる寄生虫)
だったそうです。こりゃあ寿司や刺身好きにはいやーな話ですなぁ‥‥。
まぁ人間の口に入る魚はかなり厳密にチェックされてるんで、これで「寿司は危険だ!」みたいな話にはならないのでご注意ください。実際、プレスリリースでも研究者がわざわざ「私は普通に刺身も食べてます!」と言ってるぐらいなんで。
ただ、ここから想定される問題としては、
- イルカとかクジラなどの海洋哺乳類への影響は大きいかも
- 一部の絶滅危惧種の個体数が復活しないのは寄生虫のせいかも
ってあたりは心配されるとこっすね。いまんとこアニサキスが激増した理由はわからんのですが、おそらくは「気候変動とか、海水に流れ込んだ肥料のせいかなー」ぐらいに考えられております。
左利きの人ってどれぐらい存在するの?問題
「左利きの人ってどれぐらい存在するの?」って問題を調べたメタ分析(R)が出ておりました。こちらはカポディストリアン大学などの研究で、左利きに関する262のデータセットを使って大きな結論を出してくれております。サンプル数は230万人以上で、過去の左利きに研究の中では最大規模っすね。
そこで何がわかったかと言いますと、
- 左利きの人は世界でだいたい9.3%から18.1%の範囲で存在する。ベストな推定値は10.6%ぐらいだと考えられる
だったそうで、世界全体で考えるとだいたい8億2700万人近くが左利きだろうなーって感じらしい。やっぱ左利きってのは結構な少数派みたいっすね。
ちなみに、完全なトリビアですが、2019年には「猫に利き手はあるのか?」って疑問を調べたメタ分析(R)も出てまして、これによると、
- 猫は39%が右利き! 36%が左利き! 25%は利き手なし!
だったみたい。猫の場合はわりと均等なんすね。