瞑想を長く続ければ脳が8年若返る………かも?という脳スキャン研究のお話
https://yuchrszk.blogspot.com/2020/04/8.html?m=0
自粛ゴールデンウィーク!ということで、手持ち無沙汰の方も多いでしょう。私はもともと在宅ワーカーなんでそこまで自粛の影響はないんですけど、それでも行きつけのジムや道場が休館になったり、打ち合わせがオンラインになったりで、いつもよりは時間ができております。
なので近ごろは、
- 持ち歩くのが辛いような分厚い本を読む(いまは「アーサー・ウェイリー版の源氏物語」に取り組んでます)
- 放置しまくってた書類の整理をする(やっと領収書が年代別にソートできた)
- やろうと思って後回しにしてた「ポジティブ心理学系のテクニック」を試す
- マインドフルネス瞑想の時間を増やす。
みたいなことをやってます。後回しにしてた些事を片づけていくのは、やっぱメンタルにいいっすな。ちなみに、源氏物語はあらためて読むと主人公がひどすぎておもしろいですね。
で、最後のマインドフルネス瞑想について、ちょっとモチベーションが上がる研究(R)が出てましたんで、内容を軽くまとめておきます。主筆は「マインドエクササイズの証明」とか「心を整えれば、シンプルに生きられる」などで有名なリチャード・デビッドソン博士でして、マインドフルネス研究の第一人者っすね。
さて、瞑想のメリットについては「パレオな男」でもいろいろ書いてまして、
みたいな知見が得られております。どれも自信がなさそうな書き方になってますけど、まだまだマインドフルネス研究は質が低いものが多いので、ここらへんはどうしようもないところです。
でもって、今回の新しいデータが示したメリットを一言で言えば、「瞑想で脳が若返る!」みたいになります。人間誰でも歳を取ると灰白質の量が減っちゃうものなんですが、この現象を瞑想が食い止めてくれるんじゃないか?というんですね。
これはハーバード大学とウィスコンシン大学などの研究で、ヨンゲイ・ミンゲール・リンポチェさん(通称YMRさん)という有名なチベット僧侶を対象にしたものです。YMRさんはは私と同世代の僧侶で、十代の頃から修行生活を送ってパニック障害を乗り越えつつ、今は瞑想の科学的な研究に協力してる有名な人。これまで瞑想に費やした時間は6万時間だそうです。すげー。
デビッドソン博士はYMRさんの脳を14年にわたってMRIで調べてまして、今回の研究でもそのデータを使っております。具体的には、
- 定期的に瞑想をしていない40代の男女105人の脳をスキャンする
- BrainAGE法で脳の老化を測定し、YMRさんの脳と比較する
といった感じで、瞑想の達人と素人は脳に違いがあるのかを検証したわけです。
その結果がどうだったかと言いますと、
- YMRさんの脳は、同世代の脳よりも8歳ほど若かった
- ついでに、YMRさんの脳はセルフコントロールに関わる脳領域が発達していた
だそうです。8歳の違いってのはなかなかのもんですなぁ。
まぁこの研究については「たったひとりの僧侶を調べただけじゃ何もわからん!」って批判はあるでしょうし、実際のところ、これだけをうのみに「瞑想で脳が若返る!」と言っちゃうのは無理な話。そこは十分に気をつけていただきたいとこですが、2016年に行われたBrainAGE法による研究(R)なんかでも「長いあいだ瞑想をしてきた人の脳は平均で7.5歳ほど若かった」という結論が出てまして、可能性はあるかもなーとか思うわけです。
ちなみに、YMRさんがどんな瞑想法をしているかが気になるところですが、2018年にロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで行われた講演では、瞑想のポイントをこんなふうに語ってます。
私が子供のころ初めてパニックの発作に襲われたとき、私は「こんにちは、パニックさん。出て行ってください。私は瞑想中なんです」と語りかけてみましたが、パニックはどんどん大きくなっていきました。本当にがっかりしましたよ。瞑想はパニックをやわらげてくれるものだと思っていましたが、効果がなかったのです。
そこで、父にこの経験を話したところ、彼は言いました。
「あわてて『出て行け!』と言ってはいけない。パニックを歓迎するんだ。瞑想中にパニックが障害になるとは限らない。パニックには何の問題もないし、パニックでない状態にも何の問題もない」
これを聞いた私は「面白い」と思い、少し瞑想の仕方を変えました。瞑想中にパニックが襲ってきても「歓迎するよ」と言うようにしたのです。こうして私とパニックは友人になりました。
ネガティブな感情を押し殺すと逆効果なので受け入れよ!ってことですね。瞑想の基本としてよく言われることではありますが、それだけにもっとも難しいポイントでもありますね。
また、英語だとよくわからん!という方は、YMRさんの著作である「今、ここを生きる」にくわしい手法がのってますんで、興味がある方はこちらをどーぞ。