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今週末の小ネタ(新型コロナエディション):運動と感染リスク、ビタミンDのメリット、嗅覚と味覚


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。相変わらず新型コロナに関する新しいデータがいくつか出てたので、今回もそこらへんのまとめなど。
 

 

エクササイズの直後は逆に感染リスクが高くなる?問題

免疫システムを正常に働かせるには運動が必須なのは当たり前の話。なんだけど、新型コロナがはびこるご時世で不安になるのが「運動の後は免疫系が抑制されて感染リスクが高まるのでは?」みたいな問題です。

 

 

俗に「オープンウィンドウ」と呼ばれる仮説で、エクササイズをしてから数時間から数日間は逆に感染リスクが高まるんじゃないの?って考え方があるんですよ。これが事実ならせっかくの運動が逆効果にもなりかねないわけで、なんとも困っちゃうわけです。

 

 

ってことで、近ごろバース大学などのチームが、過去の「運動とオープンウィンドウ」に関する先行研究をレビュー(R)してくれまして、わりと信頼性が高い結論を出してくれております。ありがたいっすねぇ。

 

 

で、長々と議論を追うのもアレなんで、とりあえず結論から言っちゃうとこんな感じです。

 

今回の研究では、運動がウイルス感染のリスクを増加させるという証拠はほとんど見つからなかった

 

新型コロナウイルスの問題を抱えた現在の状況を考えると、最も重要なのはウイルスを保有している可能性のある他人に近づかないことだが、その一方で、アクティブに過ごすことの重要性を見落としてはいけない。他の人から十分に離れた状態で運動をした場合には、毎日の運動は健全な免疫システムを維持するのに役立つ。

 

運動によって免疫系が抑制され、新型コロナウイルスのリスクが高まることを恐れるべきではない。政府が定めるソーシャル・ディスタンスのガイドラインに従って運動している場合は、私たちの健康と幸福に非常に良い効果をもたらすだろう。

 

というわけで、運動後は逆に感染しやすくなる説を支持するようなデータは見つからなかったらしい。結局のところ、運動は短期的には免疫システムが病原体を対処するサポートをするし、長期的には加齢に伴う免疫システムの変化を遅らせることができるして、感染症リスクについては良いことしかなかったそうな。

 

 

個人的にもホッとする結論でよかったですが、くれぐれも自宅で運動をいただければと。私の場合は7年も前にやってたINSANITYを引っ張り出してきて、自分の部屋で体を動かすようにしております。

 

 

 

ビタミンD不足はダメージが大きいから注意してね

もちろん新型コロナに効くサプリなんて存在しないものの、一方では「これが不足すると感染リスクが上がるかも」と言える栄養素なら存在するわけです。そこでトリニティ・カレッジ・ダブリンから新たに出たレポート(R)は、

 

  • ビタミンDが足りない人は新型コロナの感染に弱くなるぞ!

 

って結論になっておりました。ビタミンDが免疫システムにとって重要な働きをしているのは当ブログでも何度か書いた話で、感染症に対する身体の防御メカニズムを改善したり、抗生物質の必要量を減らしてくれたりと、非常におもしろい結果がいろいろ出てるんですよね

 

 

で、この研究では、アイルランドに住む50歳以上の男女8,172人を対象にしてて、だいたいの要点を申し上げますと、

 

  • アイルランドで50歳以上の成人の8人に1人は一年中にわたってビタミンDが不足している
  • ずっと家にいて太陽の光を浴びない人は、ビタミンD欠乏症のリスクが大いにある
  • ビタミンDレベルが低い高齢者の胸部感染症をサポートするには、サプリが有効だと考えるにたるエビデンスがある(ある研究では、ビタミンDサプリで胸部感染症のリスクが半分に減った)
  • COVID-19対策で自宅で自粛している人には、ビタミンDのサプリを推奨する

     

みたいになります。まぁ新型コロナとビタミンDの関係についてはまだよくわかってないんですが、免疫系に重要な役割を果たしてるのは間違いないですからねぇ。普段よりビタミンDの摂取を気にしておくといいんじゃないでしょうか。

 

 

 

嗅覚と味覚が消えた人は症状が軽い?

新型コロナの症状といえば「臭いと味を感じられないなー?」って問題が有名ですが、カリフォルニア大学がそのへんを調べる研究(R)を行ってくれておりました。これは新型コロナにかかった患者さん102人を調査したもので、全員の症状と経過をチェックしたところ、

 

  • 全体の71%が嗅覚と味覚が消える経験をしていた
  • 喉の痛みを訴えた患者には意外と陰性が多かった
  • 嗅覚と味覚の喪失は、他の症状(発熱とか倦怠感とか)に比べて新型コロナの陽性率が10倍だった
  • 嗅覚と味覚が消える経験をした人は、その後の回復が早くて症状も軽い傾向があった(平均で感染から2〜4週間)

 

だったそうな。嗅覚と味覚が消えた人は症状が軽いってのは不思議なもんすねぇ。

 

 

もっとも、この研究は、嗅覚と味覚が消えたから安心って話ではないのでご注意を。しかし新型コロナは謎が多いですなぁ‥‥。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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