ものごとを判断するときは必ず情報を集めよう!が正しいとは限らない問題
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なにかを判断する際に情報を集めるのは基本中の基本ですけど、「時には追加の情報を入れずに判断したほうがいいこともある!」ってデータ(R)が出ておりました。
これは1,718人の参加者を対象にしたテストで、まず全員に以下の問題を出したんだそうな。
ジェーンは大学に入学したばかりで、授業や課外活動の多忙なスケジュールに慣れようとしているところです。大学生の新入生は、入学から1年で平均6.5kgも体重が増えると言われていますが、ジェーンはちゃんと友だちと交流したり、宿題や勉強をこなしたりしつつ、体重の増加をふせごうとしています。
この状況で、ジェーンが目標を達成するためにすべきことは何だと思いますか? ベストなものをひとつだけ選んでください。
A. 毎週末、30分のウォーキングをする
B. 健康的な食生活を維持する
C. 友達と遊ぶのを避ける
D. テレビを見る時間を減らす
この問題に取り組むにあたって、研究チームは、参加者を3つのグループに分けてます。
- 特に質問以外の情報を与えない
- テキストベースで「体重管理に必要なもの」の情報を伝える
- 図解で「体重管理に必要なもの」の情報を伝える
「体重管理に必要なもの」のテキストがどんな内容だったかと言いますと、
現在の体重維持のガイドラインでは、「健康的な食生活」と「1回30分以上の運動を週に3回」が推奨されています。一方で「友人との交流」はアルコールの消費量を増やすため、体重の管理には悪影響があるかもしれません。
みたいになってます。まぁ非常にベーシックな文言でして、ここから判断すると上記の質問の答えは「B」になりますな。
他方で「図解」グループが見たのはこんな図です。
表現してることは文章バージョンと同じですが、果たしてどちらがわかりやすいかと言われれば難しいとこですね。
で、最終的な結果はこんな感じでした。
- 質問以外の情報がないグループには88.8%が正確した
- 文章の追加情報を読んだグループは82.7%が正確した
- 図解を見たグループは80.1%が正解した
なんと「なんの情報も入れずに答えたグループがもっとも優秀」だったそうで、ちょっとビックリですな。
もっとも、だからといって「余分な情報など入れずに判断すればOK!」ってわけではなくて、研究チームは「過去に経験があるような内容については情報がジャマになるのでは?」と推測しておられます。「体重の維持」については誰もが一度は体験があることだけに、下手に追加の情報を入れちゃうと逆に混乱するんじゃないか?ってことですね。
そこでチームは追加の実験をしてまして、「2型糖尿病の管理に最適な行動とは?」をテーマに上と似たような実験をしてます。糖尿病は誰にでも経験がある問題ではないので、本当に追加情報の有無がジャマになるかどうかが判断しやすいわけです。
こちらの結果がどうだったかと言いいますと、
- 糖尿病の経験がない人が追加の情報を与えられた場合、正解率が86.6%
- 糖尿病の人が追加の情報を与えられた場合、正解率はたった50.0%だった
だったそうで、研究チームの読みどおり「経験があるものに情報を追加すると判断が狂う」って結果になってますね。
なんでこういう現象が起きるかと言いますと、
- 多くの人間は入ってきた情報をそのまま吸収するわけではなく、脳内にある信念や体験をもとに情報をカスタマイズしている(いわゆるメンタルモデルですな)
- しかし、そこに余分な情報が入ってくると、「あれ?自分の判断は正しいのか?」って疑念が生まれてしまう
みたいな感じです。知ってることは反射的に答えが出せるはずが、追加の情報によって考えすぎの状態が起こってしまうようなイメージっすね。
というわけで話をまとめると、
- 十分に過去に経験があるようなことについては追加の情報を入れずに判断したほうがいい
- 初めてのことについては追加情報を入れたほうが格段に判断の精度は上がる
みたいになりましょう。お気をつけをー。