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今週末の小ネタ:楽器で記憶力改善、睡眠不足で怒りっぽくなる、運動しない人の性格

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

 

楽器を学んだ子供はワーキングメモリが改善する?

子供に楽器をやらせると頭が良くなるのでは?みたいな説は昔からあるものの、おそらく音楽を学んでも学校の成績は良くならないだろうって見方が現時点では優勢だったりするわけです(R)。

 

 

が、成績に影響はなくても記憶や注力は改善するんじゃない?ってことで、新たなテスト(R)では、「楽器を学ぶと脳が良い方向に活性化するよ!」って結論になってました。

 

 

これは10〜13歳の子供40人を対象にしたテストで、そのうち20人は少なくとも週に2時間は楽器を練習しており、音楽歴が2年以上はあったそうな。そのうえで、みんなの注意力とワーキングメモリをチェックしつつ、同時にfMRIで脳の活動をモニターしたところ、

 

  • 脳の反応時間は2つのグループ間で差はなかった
  • しかし、音楽をやってた子供は記憶力を測るテストで有意に優れいていた

 

ということで、どうやら長く楽器を練習してる子供ほど、注意力とワーキングメモリの機能が良い傾向が確認されたらしい。

 

 

って、もちろんこれだとまだ楽器の練習で脳が良い方向に活性化!とは言いづらいし、この変化がどこまで現実的に役立つかはよくわからんのですが、とりあえずチームは音楽のトレーニングが脳の機能を高めていると推測しておられます。

 

次のステップは、今回のテストで確認された注意力と作業記憶力の向上のメカニズムが、本当に音楽のトレーニングと因果関係があるかどうかを確かめることだ。また、注意力とワーキングメモリを評価し、ADHDの子供たちに音楽のトレーニングは意味があるのかどうかを縦断的に研究していきたい。

 

とのことで、楽器の訓練がADHDの子供にメリットがある可能性も想定してるみたい。いずれにせよ楽器ができると楽しいんで、お子さんに学ばせてみるのはありっすね。

 

 

 

寝不足の人は怒りっぽくなるからご注意ください

寝不足だとメンタルがグダグダになるぞ!って話はよく聞くところですけど、今度は「ちゃんと寝ないと怒りっぽくなるぞ!」との結論のデータ(R)が出ておりました。

 

 

研究者たちは202人の大学生を集めて全員に日記を書いてもらい、

 

  1. 1カ月の睡眠状態はどうだったか?
  2. 毎日のストレスの状態はどうだったか?
  3. 怒りの感情はどんなふうに変化したか?

 

みたいなのを追跡したら、「睡眠が短い夜の翌日はみんな怒りがち!」って傾向が確認されたんだそうな。まぁ寝不足だとイライラするんで、つい怒りやすくなっちゃうのはよく分かりますね。

 

 

また、研究チームは147人の男女に別のテストもしてまして、そのうち半分に「1日5時間睡眠にしてください!」と指示したうえで、2日後に全員に騒音を聞いてもらったとのこと。こちらの結果も上と同じで、やはりよく眠れた人ほど騒音に心をかき乱されず、怒りの感情がわきづらかったらしい。

 

 

研究チームいわく、

 

この結果は、睡眠不足が時間の経過とともに怒りを増大させ、フラストレーションを増大させるという強い因果関係を示している。

 

また、日記を使った研究の結果を見ると、寝不足を経験した成人は、翌日の午後により怒りやすくなる傾向があった。

 

ということで、もし「自分はアンガーコントロールができないなぁ」などとお悩みの方がいた場合は、これってたんに寝不足のせいなんじゃないの?とか疑って見るといいかもしれません。寝不足で人間関係が壊れたらバカらしいですからねぇ。

 

 

 

運動量が少なくなりがちな人の性格とは?

世の中には「どうも運動が続かないなぁ……」って悩みを持つ人が少なくないわけですけど、「それって性格の問題もあるんじゃない?」と思わせるデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはユヴァスキラ大学などの研究で、47〜55歳の女性1098人と、70〜85歳の女性314人を集め、

 

  1. みんなの外向性と神経症傾向をチェック
  2. みんなが余暇時間にどれぐらい体を動かしてるかをチェック
  3. 2つのデータを比べて傾向をチェック

 

ってな研究をしたところ、

 

  • 外向性が高くて神経症レベルが低い人ほどよく体を動かしていた!

 

って傾向がハッキリと見られたらしい。要するに、社交的で不安になりにくい人ほど活動的って話でして、「まぁそりゃそうだろうなぁ」みたいな感じがしますね。

 

 

ただ、この研究ではちょっとした注意点も確認されていて、

 

  • 神経症傾向が高い人は自分の運動量を少なく見積もりがち!

 

みたいな傾向もあったらしい。というのも、神経症傾向な人に「これぐらい運動をしました」と報告してもらった記録を、実際に活動量計で計測したデータと比べてみたら、実際には申告よりも多く体を動かしてるケースが多かったんだそうな。これはちょっとおもしろいですね。

 

 

研究チームいわく、

 

神経症傾向が高い人は、身体活動への参加意欲が低いことに加えて、自分の身体活動レベルを過少報告に関係するようだ。個人のパーソナリティ情報は、運動不足のリスクグループを特定したり、身体活動の促進活動を行う際に役立つだろう。

 

とのことで、内向的で神経症傾向な私としては嫌になっちゃうわけですが、同じパーソナリティをお持ちの方は一緒に運動がんばりましょう(笑)


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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