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カルニチンで筋肉量と筋力はアップするのか?というメタ分析の話

 

昔から運動好きに愛されてる成分のひとつに、Lカルニチンってのがあります。お肉にふくまれるアミノ酸の一種で、海外では筋トレのパフォーマンスアップによく使われますね。

 

 

このブログで取り上げたところでは、

 

 

なんてのがありまして、ブロマガの方ではおすすめサプリなども取り上げてたりします。

 

 

ということで、最新の研究(R)では「カルニチンは筋トレに役立つの?」ってポイントを深掘りしてくれてて、とてもタメになりました。

 

 

これは先行研究から11件のデータをまとめたメタ分析で、内訳は以下のようになってます。

 

  1. 健康なヒトを対象に、1日あたり1gから4gのカルニチンを使っている
  2. 実験期間は12週間または24週間のあいだ
  3. カルニチンが筋肉の発達に与える影響を調べている

 

PRISMAのガイドラインを使ってないとか、全体的に試験期間が短めだなーとか思いますが(カルニチンは効果が出るまで最低100日は必要なんで)、とりあえずの結論を大づかみするにはいいんじゃんないでしょうか。

 

 

では、結論をだだーっと見ていきましょう。

 

  • カルニチンで体脂肪が減るかどうかは、結果がバラバラで割と謎。とりあえず、4 週間までの試験では、カルニチンを飲んでも脂肪は燃えないし、運動パフォーマンスも向上しなかった。ただ、これは試験期間が足りないだけかも

 

  • 別のメタ分析(R)では、カルニチンで体重を平均-1.13kg、脂肪量を平均-1.16kgぐらい減ったと報告されてるが、かなり控えめな数値なので、やっぱダイエット目的には微妙っぽい

 

  • カルニチンのサプリは、動物実験では筋肉の合成を増やして分解を食い止めると報告されているが、ヒトにおいて筋肉が増えるかどうかは証拠不十分でなんとも言えず

 

  • 24週間続けてカルニチンを飲んだ場合は、健康な高齢女性の筋力にはなんの変化もなかったが、100歳代の女性なら筋肉量が有意に増加し、身体的努力耐性と認知機能が改善されるかも

 

  • カルニチンサプリは、空腹時におけるTMAOの血中濃度を増やすかもしれない(TMAOが多いと心臓病などになりやすい)。ただし、炎症性マーカーや酸化ストレスマーカーの上昇は見られなかったので、別にそこまで問題ではないのかも

 

  • カルニチンは、もしかしたら筋力アップに役立つかもだけど、少なくとも持久系の運動には役立たなそう(ランニングとかマラソンとかね)

 

  • カルニチンは抗酸化作用が高いので、筋肉痛を改善する可能性はある

 

こうして見ますと、全体的には筋トレサプリとして使うだけのポテンシャルはないかなーってとこでして、100歳を超えたら飲んでみるのもアリかも?ぐらいの印象ですね。いっぽうで、酸化ストレスと筋肉痛には使う価値がありそうなんで、そこらへんのメリットを求めて使うのはいいのかもしんないですが。

 

 

というわけで、私としては現時点で「カルニチンは買わないなー」ってのが結論です。やっぱクレアチンに勝る運動系サプリはなかなか無いもんですな‥‥。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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