今週半ばの小ネタ:元オリンピック選手の健康、恋愛の好みと経済力、若い世代はオッサン世代より道徳的
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
元オリンピック選手は一般人より健康か?
東京大学から「元アスリートは一般人より健康か?」ってのを調べたデータ(R)が出ておりました。昔から海外でも「エリートアスリートは長生きだ!」みたいな知見はあったんですけど(R)、今回の調査では「高齢になったアスリートと一般人の違いとは?」ってあたりを掘り下げてくれてて有用でした。
どんな調査かと言いますと、
- 元オリンピック選手101人に協力をお願いし、現在の筋肉量や運動量などのデータを調べる(平均年齢75歳)
- 上記のデータを一般住民1,526人の調査結果と比べる
って感じでオリンピック選手と一般人を比較したんだそうな。それで両者にどんな違いが出たかといいますと、
- 普段の身体活動量には元オリンピック選手と一般人に違いはなかった
- 元オリンピック選手の方が、野菜や果物、魚の摂取量が多かった
- 高血圧、糖尿病、心疾患などの有病率にも、両グループで目立った差はなかった
- ただし、元オリンピック選手は一般人よりも筋肉量が多かった(≒サルコペニアじゃないケースが多かった)
- 一方では、元オリンピック選手は一般人よりも歩行速度や片足立ちなどの能力は低かった(これは怪我などのせいで運動機能が下がっちゃうのが理由っぽい)
だったそうです。要するに、元アスリートは現在の運動量こそ変わらないものの、筋肉量が多くて普段の食生活も優秀な傾向があったらしい。こうして見ると、やっぱ高齢になる前にできるだけ筋肉を増やしておくのが大事なんかなーって気がしますね。
人間の恋愛の好みは経済力によって変わる
「人間の幸福は他人との経済力の比較に左右される!」みたいな話がありましたが、新たなデータ(R)では「恋愛の選択も他人との経済力の比較に左右される!」って結論になってておもしろいです。
これは香港大学などのテストで、
- 異性と長期交際をしている中国人の大学生182人を集める
- 全体の半分には「あなたは他の参加者よりも裕福です」と信じさせ、残りには「あなたは他の参加者よりも貧乏です」と信じさせる
- その後、全員に恋愛相手に対する満足度を尋ねる
みたいな手順になってます。すると、
- 自分は裕福だと思った男性は、自分は貧しいと思った男性よりも、「現在のパートナーの身体的魅力に満足していない」「短期的な関係に興味を持っている」と答える確率が高くなった
- 女性の場合は、自分を裕福だと思ったとしても、男性の外見への要求が高くなることはなかった
- 富裕層の参加者は、経済的に恵まれない参加者よりも、「魅力的な異性と交流するのは簡単だ」と感じていた
って違いが見られたんだそうな。金持ちな男ほど相手の身体的魅力を重視して、基準も高くなり、短期的な関係を好むんだよーってことで、進化心理学の仮説にピタリと当てはまりそうな結論っすね。
若い世代はオッサン世代より道徳的にちゃんとしてる件
こないだ編集者さんと「若い世代って道徳的にちゃんとしてる人が多いっすよねー」みたいな話をしたんですよ。あくまで肌感覚ながら、私をふくむ40代以上の人たちよりも、30以下の人たちは「仕事の社会貢献」とか「環境への配慮」といった要素を自然に重んじてる気がしたんで。
で、そんなことを言ってたら、広島大学の先生方が「若い世代は本当に道徳的なのか?」ってのを調べてくれてておもしろかったです(R)。どんな話かと言いますと、
- 2019年と2020年に12,098人の日本人に調査を行い、SDGsにどれぐらい興味があるかを尋ねる
- 若者世代(18-30歳)が上の世代(31〜75歳)とどう意識が違うかをチェックする
みたいになってます。SDGsってのは国連が提唱した開発目標で、2030年までに貧困を撲滅したり、すべての人が清潔な水と衛生設備を利用できるようにしたりといった内容が盛り込まれております。ここらへんの意識が若者と中年は違うんじゃないか?と考えたわけっすね。
すると、結果は予想どおりでして、
- 若い世代ほどSDGsな製品に多くのお金を払い、SDGsな行動に価値を置き、実践する可能性がはるかに高い
- 若い世代は、上の世代よりも安定した高収入の仕事に就くことに関心を持っている。ただし、SDGsに配慮した企業で働けるなら、給料が低くても構わないと考えているケースが多い
- 若い世代が、給料は高いがSDGs意識の低い企業を選択する確率は約28%。逆に給料は低いがSDGs意識の高い企業を選択する確率は約87%だった
だったらしい。全体的に若者は「金よりもSDGsだ!」と答える人が多かったようで、やっぱ若い世代は偉いなぁ……とか思いました(語彙力)。