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健康に生きるための最低限の筋トレは「週20分」のメニューで十分じゃないか?説

 

筋トレは週にどれぐらいで十分なのか?って問題が昔からありますが、 「1週間に1回20分もかからないトレーニングでも筋力は上がるぞ!」ってデータ(R)が出ておりました。まだ査読を受けていない論文なのがアレですが、内容はチェックするに値しましょう。

 

 

これは14,690人の男女を対象にした調査で、「Fit20」というパーソナルトレーニング会社のデータを使ったとのこと。トレーナーはセッションごとに会員の負荷を記録していて、「Fit20」で最大6.8年間のトレーニングを行った会員のデータを使うことができたんだそうな。

 

 

ランダム化比較試験ではないものの、年数は長いしサンプル数も多いし、なによりトレーニングメニューが厳格に統一されてるんで、なかなか類例がない貴重なデータになってるのではないかと。このトレーニングプランはノーチラス社のマシンを使っていて、

 

  1. チェストプレス
  2. プルダウン
  3. レッグプレス
  4. 腹筋エクササイズ
  5. バックエクステンション
  6. ヒップアダクションまたはアブダクション

 

って6種目を行うんだそうな。それぞれのエクササイズは4~6回のレップで限界が来る負荷で1セットだけ実施。すべての動作は10秒かけて上げから10秒かけて下げる、スロートレーニングのスタイルを採用したらしい。また、エクササイズ間の休憩は20秒とのことで、確かに全行程を行なってもかなり短時間で済みますね。

 

 

そこでどんな結果が出たかと言いますと、一例としてチェストプレスの変化はこんな感じです。

 


  

他の種目もだいたいにたり寄ったりの曲線を描いてまして、おおまかな傾向を見てみると、

 

  • 1年後には、たいていの人が約30%ほど筋力が上がる

  • 7年後には、たいていの人が約50〜70%ほど筋力が上がる(ただし、筋力の上がり幅はどんどん小さくなっていく)

 

ぐらいの感じっすね。ちなみに、被験者の平均年齢は47歳なんだけど標準偏差は12歳で幅が広め。男女比は4:6ってことで、おそらく年齢や性別はほとんど関係なく似たような変化を得られるらしい。

 

 

この結果をどう見るかは個人のスタンスによって変わるでしょうが、週20分の筋トレでこれだけの違いを得られるんだったら、私としては「ぜひやるべきでしょう!」と思いますね。

 

 

なにせ、なにもしないでいれば1年で1%ずつ筋力は落ちていき、60歳を過ぎたら下降に歯止めがきかなくなっちゃいますからねぇ。週20分でこの現象に立ち向かえるどころか、ベースラインよりも上の筋力を達成できるんだから、やっとくべきでしょう。

 

 

また、「1年が過ぎたあたりから急に停滞が始まる」ってとこに引っかかる人もいるかもしれませんが、この文献では過去のデータを参照しつつ「パワーリフティング選手みたいに洗練されたトレーニングプランを実行してても1年後には進歩が横ばいになる」と指摘しております。ここらへんについては、どんなトレーニングでも同じことなんでしょうね。

 

 

まーあくまでまだ査読前のデータですし、果たして週に20分の筋トレが「最低限の量」だと言えるのかは謎ですが、「筋トレ嫌いだけど長生きはしたいなぁ」ぐらいのレベルの方は、上記のメニューを試してみるのもいいんじゃないでしょうか。

 

 

もちろん、「いや!私はバキバキでマッチョな体になりたいのだ!」って方にはこのメニューだと足りないんで、「筋トレボリュームのガイドライン」を参考に、自分にとって最適な筋トレ量を考えていただければと思う次第です。

 

 

 

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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